富樫倫太郎氏の著書「ヘッドゲーム」を読み終えました。これはとてもよかったです。やっぱり富樫さんはスゴイ作家さんだと思います。
空気が読めず、明らかに発達障害を抱える主人公・冬彦が次々に事件を解決していく物語の第二弾。ここでは、同じ高校の女子生徒が次々に自殺する謎に迫ります。誰が見ても明らかに自殺だし、自ら彼女たちが飛び降りるところを見た人も多い。しかし、何故同じ学校でばかり自殺が起きるのか?冬彦とその相棒は疑問を持ち、学校に乗り込んで捜査を開始します。そこに危険ドラッグの臭いがしてくるのですが、それだけで自殺と断定し、ドラッグ提供者を摘発することはできない。彼女たちをマインドコントロールして自殺させたとしても、それは立件しにくいことです。ですから、結局最後まで犯人を逮捕できないんです。
それでは、エンディングはどうなっているのか?このような状況で、富樫さんはエンディングを見事に書き上げています。結局同じ高校の女子生徒に瞬間催眠術をかける能力があることを突き止めるのですが、それでは自殺教唆すら立件できません。それでも、その女性生徒に恨みを抱いた元同級生が顔面に塩酸をかけ、犯人の女子生徒の顔を奪ってしまい、目も失明するらしい、ということでした。なるほど、これ以上事件を起こさせないようなエンディングで見事にまとめたわけですね。強引に殺人教唆を立件するとか、そういうのだと違和感が間違いなく残るので、物語の着地点を全く違ったものにしたわけです。なんとも見事!終わりよければ全て良し、ですから、この本を読めて満足しています。
さて、次に私が選んだ本は、横山秀夫氏の著書「陰の季節」です。横山氏の著書を読むのは本当に久々ですが、この文庫本は薄いので、すぐに読み終わるでしょう。今晩から読みますが、楽しみにしています。