「屑の刀」読破

20151226_120448麻見和史氏の著書「屑の刀」を読み終えました。この作品、意外に面白かった!私って警察小説を読むのが好きでも、ジャーナリストが事件を追うという視点があまり好きじゃないんです。この作品はまさに、その典型でした。しかし、どんどんスピードよく読んでしまう自分にびっくりです。まず、主人公になっている綾音の着眼点が凄腕刑事さながらによく、ジャーナリストの視点からも事件を捜査することが可能であることをリアルに再現してくれていました。捜査権のない素人が何となく周りからの情報を頼りにして事件を解決するのは、あまりリアリティがないけど、これは自らも事件に関わっていく姿がとても自然だったんです。なかなかの秀作だったと思いますが、最後のオチは・・・オチ切ったような、オチ切っていないような、微妙なところです。そもそもここで起こる殺人は、どれもとても猟奇的で、そのような気質がないとできないことなんです。それを、イメージトレーニングや肉体のトレーニングだけで無理やり実行してしまうというのは無理があるでしょう。それでも納得する人はいるかも知れない。けど、私は猟奇殺人犯の行動心理を随分勉強したので、リアリティに欠けた犯人像であることが明白になっていると感じてしまいます。そこだけが残念でしたし、綾音とライバル関係にあった新聞社の石塚には、もっと最後まで見せ場を作ってほしかったと思います。それでも、私が物語に吸い込まれるように読みふけったことには変わりなく、かなりオススメではあります。

20151226_120623次に私がチョイスした本は、相場英雄氏の「震える牛」です。牛かぁ・・・何でこれを選んだのか忘れてしまいましたが、とにかく初めて読む著者の本です。初めての作家さんの本は、最初が緊張します。推理小説とか警察小説って、たまに難しすぎて読むのを放棄することがあるんです。私の場合は10冊で大体1冊くらい、読むのを諦めています。最初の数ページを読んでみて、まず諦めないで読める本だということはわかりました。あとは、物語がどんな風に展開していくか、ですね。まだ大きな事件に発展していないので、これから先が楽しみです。

「ピカソ・青の時代の殺人」読破

20151217_235423佐伯泰英氏の著書「ピカソ 青の時代の殺人」を読み終えました。

この本では、ピカソのことを本当によく知ることができました。ただ、何が真実で何が付け足したフィクションなのか、わからなくなってきましたけどね。佐伯さんはスペインを舞台にしたら、何でも本当にリアルに書いてしまうから、驚きです。物語は、ピカソに作風が酷似する画家の作品とピカソの作品を巡って殺人事件が起こり、舞台は東京、パリ、バルセロナと転々とします。バルセロナ五輪が開催されるまで、バルセロナを擁するカタルーニャは凄く特殊な場所として捉えられていたことがよくわかります。今ではバルセロナをスペインの大都市としか位置づけない人も多いと思いますが、確かにあそこだけはナショナリズムの意識がとても高いところです。結局犯人は、バルセロナの大富豪にして精神を病んだ実業家だったのですが、一度絵に取り憑かれると、人は尋常ではいられなくなるのかも知れません。実際に多くの画家が精神状態を乱したし、崇高なもの、究極の美しさを求めるものにとって、その世界にとことんはまれば、精神を蝕まれるということはあるのだと思います。今回はそんな人間の起こした狂気の殺人が発端となり、普通の刑事がバルセロナ出張までして事件を解決しました。全体的にテンポよくきて、やはり途中からもう夢中になって読んだのですが、最後のオチでちょっとね・・・犯人の一人が小児性愛者の男性、というところまではよかったけど、整形で胸にシリコンは入れたけど男性性器はそのままっていう女性になっていたというのには無理があったように思います。物語で一人の男性をそこまで変える必要はなかったかなぁというのが私の意見です。

佐伯さんの作品は、最後で惜しいと思うことが何度かありました。全体を通して作品の質は本当に素晴らしいのに、最後がオチきれていない、という感じ。それがなければ、この物語は完璧になっていただろうに、と思います。

20151217_235734次に私が読むことにしたのは・・・結局今本のストックが結構できてしまったわけですが・・・麻見和史氏の「屑の刃 重犯罪取材班・早乙女綾香」にしました。一度にまとめ買いをしておいた中で、麻見氏の作品だけ2冊買っていたので、まず一冊読んでしまおう、と思ったのです。昨日2ページくらい読んで、すぐに眠りに落ちてしまいました。今晩からじっくり読んでいこうと思います。

「ヴェサリウスの柩」到着

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私は今回4冊一気に本を頼みましたが、その最後の1冊「ゲサリウスの柩」が到着しました。気づいていなかったのですが、私は今回、麻見和史氏の著書を2冊まとめて購入していたようです。確かに、彼の書く「警視庁殺人分析班」シリーズは本当に面白く、私はすっかりハマってしまいました。主人公となっている刑事、如月塔子が等身大の女性で、それが共感を呼んだのかもしれません。そしてそれとは別に、今まで麻見さんの作品でいうと、殺人分析班シリーズしか読んだことがなくて、それ以外にどんな本を書いているのか、知らなかったんですよね。だからほかのものにも興味があって、ずっと読んでみたいと思っていました。

この本は、鮎川哲也賞なるものを受賞しているそうです。私は芥川賞とか直木賞しか知りませんが・・・何かの賞に選ばれるなんて、相当読み応えがありそうです。かなり楽しみにしています。

「屑の刀」など3冊到着

20151211_002327楽しみにしていた本が到着しました!

今回は4冊同時購入したのですが、そのうち3冊が届きました。左から、麻見和史氏の「屑の刀」、相場英雄氏の「震える牛」、誉田哲也さんの著書「黒い羽」です。麻見さんと誉田さんの本は過去に何冊か読んだことがあります。特に麻見さんの警視庁捜査一課十一係がとても好きで、キンドルで連続して読破したくらいです。誉田さんは、原作本が何度もドラマ化・映画化されていて、とても有名な方ですよね。「ストロベリーナイト」は、私が本を読み終わったその日に偶然ドラマ化されていたという、私にとっては奇跡的なめぐり合わせの本でした。今回、相場さんの本は、恐らく初めて読むことになります。馴染みの浅い小説家の本を読むのは興味深いと同時に、作風が自分に合うかどうかが気がかりでもあるのですが、何はともあれ、全部面白そうだと思って買った本です。今年はこれで乗り切れます。今読んでいる、佐伯泰英氏の本の次はどれにしようかしら?今から順番を決めるのが楽しくなっちゃいます。

「野望の王国」読破

20151207_232329佐伯泰英氏の著書「野望の王国」をやっと読み終えました。

これは、かなり読み応えのある小説で、さすが佐伯さん、と感激しました。けど、終わりだけちょっとキレが悪かったかな?これって続編はなかったと思うのですが。物語は、バルセロナの麻薬戦争を描いています。しかし、その戦争はカルテルが仕掛けたわけでもバルセロナのどこかの組織が手がけたわけでもなく、あるドイツ人と日本人が仕掛けたことでした。そうと知らずに踊らされる地元住人、それにカルテル。警察もうっすら第三者の影に気づいていくけど、なかなかその実態にたどり着きません。

物語は途中まで、バルセロナでの出来事とドイツ・ベルリンでの出来事に分散されています。ちょうどベルリンの壁が崩れた頃の話で、バルセロナでは五輪開催が決定していました。ベルリンで壁が崩壊したとき、秘密警察の連中は次々に摘発されたし、中にはアンチ秘密警察の組織もできました。ここでは、そのアンチ秘密警察が暗躍し、やがてバルセロナの事件と結びつけていきます。

結局バルセロナに自分たちの王国を築こうと画策したドイツ人と日本人の親友同士がバルセロナを壊滅状態に追い込み、バルセロナを勝手にスペインから分離独立させようとしたのですが、勿論その計画は失敗。しかし、結局犯人である彼らは最後まで逃げ切りました。そこが、気になるんです(^^;) いっときバルセロナの麻薬取締官に摘発されそうになり、無事に逃げおおせたのはよしとして、そこから再び復活しそうな気配を残して物語は終わりました。それって、じゃあ次はどうなるの?と。コレ本当に続編があるんじゃないかと疑い始め、これからそれを調べてみようと思っています。

20151207_232837次に私が読み始めたのが、同じく佐伯泰英氏の著書「ピカソ青の時代の殺人」 まぁそろそろ一度佐伯氏の本をお休みしようとして、別のものにしようと思っていました。しかし私がミスった!最近キンドル版で購入した本とストックで置いておいた文庫本が、同じだったんです( ̄∇ ̄;)=З これをやらかしたのは、実は初めてじゃありません。ためにこういうボケをします。ですが、どのみちそれで本のストックは切れてしまうことに気づいたので、昨日思い切って4冊発注しました。今度は、佐伯氏の本は混ぜずに、新しい作者のものも混ぜてみました。それらの到着は勿論楽しみなのですが、まずはじっくりこちらの本を読みたいと思います。