「幻夢」購入

20150531_083711またまた佐伯泰英氏の著書を買ってしまいました。今回購入したものは、「幻夢(イルシオン)」。今回のは、シリーズものではありません。ただ、流石に元闘牛カメラマンが書く小説だけあって、フラメンコダンサーが絡んでいるというのが特徴です。「イルシオン」は、英語の「Illusion」と全く同じ意味でしょうね。そして、今回出てくる都市は、アンダルシアです。

私はかつてアンダルシアを舞台にした小説を読んだことがあります。真保裕一氏の著書で、その名も「アンダルシア」。彼の連作「外交官・黒田康作」は非常に有名で、「アマルフィ」は織田裕二さん主演で映画化され、大ヒットしました。そして、「アンダルシア」も映画化されていたんですよね。思えば、真保さんもとてもいい冒険小説をお書きになる人です。ただあの時、「冒険小説」というジャンルにハマりきらない自分がいました。「アマルフィ」も「アンダルシア」も原作を読んで凄く良かったんですけど、彼の場合はまたテイストが違って、国内で起きる事件を扱う警察小説同様の気軽さで読むことができるんです。一方、佐伯氏の著書は、ずっとスペインか中南米が舞台になっている分、スペインに精通した人が書いた本なのだとすぐにわかります。書き手の人生がそのまま小説に映し出されてしまうんでしょうね。だから、真保氏の著書よりも、もっと佐伯氏の人生そのものを理解しなければ小説も理解できない、というところがあると思います。

テイストの違うもので、同じアンダルシアを舞台にしたサスペンスを比べてみるのも面白そう。正直、恐らく佐伯氏の本のほうが私には難しい気がしますが、それでも読むのを楽しみにしています。

「悲しみのアンナ」読破

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佐伯泰英氏の著書「悲しみのアンナ」を読み終えました。このシリーズ、徐々にハマりつつあります。私が主人公であるアンナ・スタインベルク・ヨシムラという警視庁の通訳に共感しているからかもしれません。

今回は、アンナが誘拐されることを発端に事件が始まります。アンナは警視庁巡査部長の「クゲマロ」こと根本と中華街のとあるレストランで待ち合わせをしていました。ところが、根本のところにアンナは現れない。クゲマロの直感で、アンナに何かあったということがはっきりとわかりました。そしてアンナを探し、奪還するのですが、なぜかアンナは狙われ続ける。そして、どうして狙われるのかがわからない。根本は献身的にアンナを守り、事件の真相を導き出していきます。

前回、シリーズ第一作「五人目の標的」を読んだとき、この小説は読みやすくて好きだと思いましたが、いまいちわかりやすすぎたという面があって、だけど読みやすいには変わりないし、国際的な舞台をモチーフにした作品が最近のお気に入りだったので、続けて読むことにしたんです。今回の事件には、アンナの生い立ちが多いに関係していて、最後は悲しみの結末が待ち受けています。

アンナという女性は、ドイツ系アルゼンチン人と日系人のハーフで、アルゼンチンで幼少期を過ごしたのですが、両親を何者かに殺され、妹が行方不明になり、天涯孤独になります。多民族の血が流れ、色んなところに住んでみたけど、どこもいまいちピンとこない。きっと彼女は典型的な「無国籍人」です。そして、それは私にも共通するところがあります。私はロシア系の家系に生まれ育った日本人ですが、典型的日本人の社会からはどちらかというと疎外されていると感じながら生きてきました。だからイギリスに留学したり、世界放浪をしたりして、自分の居場所を探しているような気がするんです。今はいい職場に恵まれたと思っていますが、そこだって同僚の半分が外国人で、ラテン系のノリでやっている会社。性格的にはわりとラテン系と合う私にとってはパラダイスだし、何よりそこが無国籍な空間であるから、居心地がいいのかもしれない。私もどの社会でも生きていくのが難しく、国籍という枠を超えたところで生きている人間。だからこそ、世界中に家族がいるような気がする一方で、常に孤独でもあるのです。アンナの場合、悲しい生い立ちもあって、常に孤独な自分が前面に出ていますが、それでも日本で良き理解者に恵まれ、何とか自分を保っているように見えます。そういうところが私と重なるから、ついついこのシリーズは読んでしまうんでしょう。ディテールが巧妙にできているかではなく、主人公の人間的な部分が、私を惹きつけています。だから、この先もこのシリーズはコンプリートするまで読んでいくつもりです。

その前に、こちらの本を読んでいこうと思っています。

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同じく佐伯泰英氏の著書「ユダの季節」です。こちらはスペインが舞台になっています。

でも、この本を読んだら、暫くはまた普通の日本の警察小説に戻るつもりです。警察官が出てくれば何でも読むというのが私流ですから。今のペースで佐伯氏の本を読んでいくと、いつか彼の著書全てを読破してしまうでしょう。それは勿体無いので、色んなものを混ぜながら読んでいこうと思います。

「フォックス・ストーン」読破

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笹本稜平氏の著書「フォックス・ストーン」を読み終えました。

これは、私が不得意とするアフリカ大陸が物語で重要な役割をしているのですが、そこで使われていた国名は、恐らく架空のものです。舞台は東京からアメリカ、アフリカの知らない国々へと飛び、スケールの大きさを実感しました。そして、普通の警察小説も秀作が多い笹本氏の冒険モノも素敵だなぁと思いました。

今回は、日本人で元傭兵だった男性と、その相棒だったアメリカ人傭兵の友情が根底にあります。傭兵からジャズミュージシャンに転向し、東京でライブ活動などを行っていた元傭兵のダグが、何者かに殺されます。傭兵時代のあと、ずっと彼とご無沙汰だった日本人の元傭兵・桧垣は、彼の死の真相を知るべく動き出すのですが、その過程で何度も命を狙われ、また何人もの愛する人が命を落とすことになります。この作品では多くの傭兵を雇う軍事会社の実情が詳細に書かれており、それは興味深かったです。そして改めて思ったのは、私自身が旅人であるから、このような冒険小説にある種の共感を覚え、のめり込んでしまうのだということ。私は海外旅行を中学の時から始め、お金と時間のある限り旅を続けてきました。時には、旅支度が面倒で、旅の計画がストレスになることもあるけど、旅は私の人生に必要だとわかっているから、続けているんです。そして、傭兵として多くの国を放浪してきたここに出てくる男たちも、ある意味では同じような気持ちでいるのでしょう。日本に留まっていてはけない、自分が枯渇してしまうという危機感、そういうのもをDNAにもって生まれたのだと思います。

ただ、同じ笹本氏でいうと、「極点飛行」のほうが断然素晴らしかった。あそこには、壮大さの中にも人間の心の大きさがもっともっと含まれていた、というか、もっと豊かに描写されていたように思うんです。この作品もよかったのですが、笹本氏の冒険サスペンスでいえば、私は極点飛行のほうが断然好きです。

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そして次は、佐伯泰英氏の著書「悲しみのアンナ」を読みます。

こちらは連作なので、どんな感じかはわかっていますけど、どうも私は南米がらみの話が好きで・・・私が初めて憧れた外国というのが南米でしたから、思い入れが私の中で強いのが影響しているのだと思います。主人公のアンナは、日本人とアルゼンチン人のハーフで、必ず南欧や中南米が舞台になりますから。昨日1ページ読んで、すぐに寝てしまいました。今晩から本格的に読んでいこうと思います。

佐伯泰英氏の著書3冊購入

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今回、思い切って3冊の本を同時購入しました。しかも、全部佐伯泰英氏の著書という・・・ハマりすぎでしょ(笑)

1冊目は一番左、「悲しみのアンナ」です。先日私が読破した「五人目の標的」が、警視庁国際捜査班シリーズの第1作だったのですが、これは2作目です。このシリーズは無難に読みこなせそうなので、読み続けようかなぁと思って・・・。

2冊目は真ん中、「ユダの季節」です。これは、佐伯氏得意の、スペインのお話みたいです。軍事政権の指導者、フランコが出てくるあたりがとても楽しみ。これは「眠る絵」にも共通することで、スペインの王政は1975年に復古しましたが、それまで第二次大戦後からはずっとフランコ政権だったんですよね。その時代を背景にしたサスペンスは、最近本当に興味深く読んでいます。

3冊目は一番右、「ダブルシティ」です。こちらはそれまでの2作とはまた違い、日本で起きたテロ事件を扱っています。サスペンスなら断然国際モノを書くような印象があったのですが、どうやらこれは普通に警察小説だったりして!?いや、佐伯氏の傾向からすると、必ず国際組織とかが絡んでいるはず。まぁ絡んでいなくても、面白ければいいです。

どの順番から読もうかな?なんて今からワクワクしていますが、差し当たり今は「フォックス・ストーン」に集中したいと思います。