またまた佐伯泰英氏の著書を買ってしまいました。今回購入したものは、「幻夢(イルシオン)」。今回のは、シリーズものではありません。ただ、流石に元闘牛カメラマンが書く小説だけあって、フラメンコダンサーが絡んでいるというのが特徴です。「イルシオン」は、英語の「Illusion」と全く同じ意味でしょうね。そして、今回出てくる都市は、アンダルシアです。
私はかつてアンダルシアを舞台にした小説を読んだことがあります。真保裕一氏の著書で、その名も「アンダルシア」。彼の連作「外交官・黒田康作」は非常に有名で、「アマルフィ」は織田裕二さん主演で映画化され、大ヒットしました。そして、「アンダルシア」も映画化されていたんですよね。思えば、真保さんもとてもいい冒険小説をお書きになる人です。ただあの時、「冒険小説」というジャンルにハマりきらない自分がいました。「アマルフィ」も「アンダルシア」も原作を読んで凄く良かったんですけど、彼の場合はまたテイストが違って、国内で起きる事件を扱う警察小説同様の気軽さで読むことができるんです。一方、佐伯氏の著書は、ずっとスペインか中南米が舞台になっている分、スペインに精通した人が書いた本なのだとすぐにわかります。書き手の人生がそのまま小説に映し出されてしまうんでしょうね。だから、真保氏の著書よりも、もっと佐伯氏の人生そのものを理解しなければ小説も理解できない、というところがあると思います。
テイストの違うもので、同じアンダルシアを舞台にしたサスペンスを比べてみるのも面白そう。正直、恐らく佐伯氏の本のほうが私には難しい気がしますが、それでも読むのを楽しみにしています。