私が珍しく購入した、自伝です。
オウム真理教教祖の松本智津夫死刑囚の3女、「アーチャリー」の名前で呼ばれていた、松本麗華さんの著書「止まった時計」です。
オウム事件を知らない世代がどんどん増えてきていますね。私は、この事件はよく覚えているんです。東京にも数箇所オウムの道場があって、私はそのかなり大きな道場の近くに住んでいました。スーパーにはオウム信者が買い物に来ているのも見ました。またそれだけではなく、私は青山総本部があった場所に、母らとドライブにも行った(^^;) 地下鉄サリン事件には友達が巻き込まれていた可能性があり、電話で連絡を取ってみたりして本当に心配しましたが、幸い丸の内線を使っている友人は無事で・・・どれだけホっとしたことか。あの事件の被害者数は6,000人、その中に私の知り合いが一人でも含まれていてもおかしくなかったのです。
テレビでは初めて人が殺されるところを見ました。私は青山総本部からの生中継を見ていて、村井秀夫幹部が刺殺されたのです。あの映像を見ていたとき、最初は何が起こったのかわかりませんでした。でも、殺人事件が起きたと知って、本当にびっくりでした。後にも先にも殺害現場を生で(テレビを介してではありますが)見たのはあれだけだったので、もしあの画像が全く乱れていなくて殺害の一部始終をうっかり見ていたら、PTSDになっていたかもしれませんね。殺人事件を目撃した人にPTSDは多く見られる症状です。
とまぁ、私のオウムの思い出話は尽きませんが・・・あの事件が社会現象にまでなり、私は元教団幹部が書いた本などを片っ端から読みました。教団広報部長であった上祐氏の本も読みましたし、松本智津夫死刑囚の四女、松本聡香さんの著書も読みました。その中で、何故今まじめに生きる彼らが、あんな事件を起こしてしまったんだろう、何故松本家の人たちに不幸な境遇が待っていたのだろうかと、何度も考えました。
アーチャリーは、教祖から最も寵愛を受けていた子供です。私は事件が起きた当時、太った少女がテレビに映るたびに「この子はろくな子じゃないだろうな」と思ったものです。だって、教団という場所しか知らないわけだし、小さい頃からちやほやされていたら、我侭な子になるのが当然ってものでしょう。しかし、教団の起こした事件により、松本家はバラバラになりました。
今年でオウムが起こした地下鉄サリン事件から丸20年、その節目の年に、教団内で最も目立っていた子供、アーチャリーこと松本麗華さんがその半生を綴ったことを知り、読まなくてはと思いました。その前に四女の本も読んでいましたが、現在三女と四女では意見が対立していて、疎遠になっているようです。
私は麗華さんも聡香さんも、松本智津夫の娘というだけで、相当辛い人生を送ってきたんだろうなぁと思いました。彼らが事件を起こしたわけではないのに、加害者の家族というのは常に加害者という目線で見られてしまいます。けど、彼らには彼らの人生があっていいと私は思うし、事件に向き合って生きていれば、それ以外はどんな夢でもかなえる権利があると思います。三女麗華さんはインタビューにも答えていましたが、自分の中で事件を消化しきれていないようでした。そして、聡香さんとも真っ向から対立している。
私は聡香さんの著書を読んだのなら、麗華さんの著書も読まないと、松本家の子どもたちを平等に見られないのではないかと思いました。それが、本を購入した理由でしょうかね・・・そして、私は特に被害者遺族ではないので、客観的にあの事件を見てみたいと思います。
今はまた例によって冒険サスペンスを読んでいるところです。それが終わったら、多分すぐに麗華さんの著書を読むことになると思います。なかなか楽しみです。