佐伯泰英氏の著書「ユダの季節」を読み終えました。最後のほうは特に面白くなってきていて、睡眠を削ってでも最後だけは一晩で読破したかった。けど結局日ごろの疲れがあって眠気に負け続け(^^;)、3分割して読み終えた感じです。
ここに出てくる「ユダ」というのは、小磯という日本赤軍出身の男です。最初はまっとうな大学生活を日本で送っていましたが、とある事件をきっかけに転落の道をいく。しかし、相手の懐に入り込むことと裏切りに長けていて、色んな組織を渡り歩いた結果、スペインのバスク地方のゲリラ組織「ETA」に加わったのです。彼が端上という闘牛カメラマンの妻子を殺したことから端上は小磯に対する復讐心が芽生え、そしていつしか臨時の日本大使館員として端上は彼をギリギリまで追い詰めます。フランコ政権が終わりを迎える中、ファン・カルロス王と日本の皇太子ご夫妻を招いた闘牛大会で小磯たちは大規模なテロを計画していました。しかし、端上と日本大使館、スペイン警察の連携で、何とかそれを阻止。ここでいう「ユダ」というのは、生きるために組織を売って別の組織の懐に飛び込む、小磯のことだと思います。
ラストは、闘牛士と闘牛場を運営する人々が連携してテロ阻止をするのですが、そこで難しい闘牛用語が出てきて、一瞬ストーリーが頭の中から飛ぶことがありました。闘牛って、ただ牛を威嚇して殺すという単純な競技だと思っていたので、闘牛士の立ち位置や威嚇方法に様々な種類があるなんて知らなかったもので・・・。そこのところを辿っていると、結局どうやってテロを阻止しようとしたのかわからなくなってしまい、いつの間にかテロを未然に防いでいました。闘牛の描写については、きっとあれで合っているのだろうけど、私にとってはそこを読解することが難しかったです。ともあれ、充分に楽しめる作品でした。
私が次に読もうと思っているのが、こちらの「サイゴンの悪夢」です。
日本で警察の通訳官として活動するアンナ・ヨシムラ・スタインベルクの話の第三弾です。「ユダの季節」が昨日読み終わったばかりなので、今日から早速こちらを読んでいこうと思います。