ドラマ化された長編小説「探偵の探偵」をついに読破しました!
ドラマでは第3巻までのストーリーを詳細に描いていましたが、やはりそれだけでは終わりませんでした。物語には続きがあったのです。ドラマでは市村凜の正体を暴き出し、紗崎玲奈が別の探偵事務所に移籍するところで終わっていました。しかし、実際は市村凜から琴葉を救出する過程で玲奈と琴葉の間に気持ちのすれ違いがあり、それを乗り越えるために第4巻ではお互いに新しい戦いに挑んでいきました。ドラマでは、市村凜が何故探偵業に精通していたのか、そこまでは描かれていなかった。第4巻では、市村を探偵に育てた精神科医との攻防が描かれています。
なるほど、そういうことだったのか、と納得しました。誰が何のために市村のような女性を探偵に仕立てたのか・・・。それにしても、探偵という職業をリアルにここまで詳細に再現できるなんて、この著者は本当にスゴイと思いました。前に「催眠」を読んだ時にも思いました。この人の書く物語は、とんとん拍子でシーンが変わっていくのです。そこに若干スピード感がありすぎると思いましたが、物語としては不自然になっていない。私は特に「探偵の探偵」最終巻で、拘置所内での殺人事件を描いたところが圧巻だったと思います。
ただ、私は物語全体を通じて、レナと琴葉の関係には共感できないと思いました。この二人の関係については、ドラマのほうがしっくりくる。他人同士が本当の姉妹以上に必要としあう姿には無理があると思うんです。玲奈にとって、琴葉は人生の全てでした。琴葉がいる人生、琴葉と分かち合う人生が最も幸せである、と。それは、どういう生い立ちがあっても、成立しづらい類似姉妹愛だと思うんです。私には姉と妹がいますが、彼らの存在は一緒に育ったからこそあります。実の姉妹を他人に置き換え、本当の家族のように感情移入をすることは少なくとも私の人生ではないでしょう。妹分や姉貴のような存在がいても、それ以上求め合うことはありません。何故この二人が姉妹愛以上の強い絆で結ばれたのか、それがどんなに詳細に描かれていたとしても、理解しがたいものがありました。まぁ、それ以外の点では文句ない小説だとは思うんですけどね。私にとってはそこが残念なところです。
そして、私は自分の原点に戻ってきたような感じです。次に読むと決めたのは、佐伯泰英氏の著書「テロルの季節」。たぶんこっちのほうが、それぞれの人間の関係性が理解しやすいと思います。まだ1ページくらいしか読んでいなくて、昨晩はすぐに寝てしまいました。今晩から続きを読んでいくので、楽しみです。