笹本稜平氏の著書「所轄魂」を読み終えました。
これはシリーズモノではなく、単作ですね。これは、警部補である父・葛木と、その息子でキャリア官僚の俊史が同じ帳場で捜査することになり、紆余曲折を経て真犯人に迫る物語です。結論からいうと、楽しかったです!捜査本部に詰めた本庁から出張ってきた鬼刑事、山岡との確執もリアルに描かれており、けど完全に山岡を悪者扱いしているわけでもない。猪突猛進で強引な捜査をする山岡と対立しながら、葛木父子は捜査本部がどうやったらまとまるのか模索していきます。最後の犯人逮捕の場面まで葛木父子及びその周りの刑事たちと、山岡ら本庁組とのソリは合わずに、山岡らは誤認逮捕で起訴してしまうのですが、葛木父子が最後まで諦めずに捜査をし、真犯人にまでたどり着きます。その道程の中でハラハラワクワクし、最後は一気に引き込まれていきました。最後真犯人は警察の追跡をかわそうとして結果、自殺しました。しかし物証から本人が本丸であったことは明らかで、その動機も物証から明らかになっていきます。
ただちょっとだけ残念だったのは、管理官である息子が父親にあまりに従順だったことかな・・・それではリアリティが出ない。家族っていうのは、時に激しくぶつかり合うもので、捜査方針について、もっと親子で喧嘩するくらいでよかったのではないかと思いますが、ここでは息子は父親を完全に信頼しきっており、警察内の良い先輩として立てることも忘れていません。こんなに出来のいい息子だと、ちょっと物足りないかな、と思いました。
さて、次に私が選んだ本は、薬丸岳さんの著書「逃走」です。既に読み始めて数日経っていますが、まだ全然進んでおりません。薬丸さんといえば、椎野桔平が主演でドラマ化された「刑事のまなざし」という作品が有名ですが、私は正直、ああいう作品は好きではない(^^;) もっと事件捜査が複雑なのが好きなんです。今のところ、この小説は存分に楽しめそうな予感がするので、更に読み進めていきたいと思います。
さてさて、また一冊本が届きました。今野敏さんの著書「海に消えた神々」です。今野さんの作品は、もう何度も何度も読んでいるので、そのセンスのよさは理解していますが、この作品は、山本周五郎賞を獲ったとかで、話題になったらしいですね。そんな本があるなんて、知らなかった・・・これは、来週旅行に出るので、そこに持っていってゆっくり読もうと思います。