貫井徳郎氏の著書「ドミノ倒し」を読み終えました。これは、ある探偵が、元恋人の妹から、彼女の元彼が殺人事件で容疑をかけられていると相談され、その容疑を晴らし、更に真犯人究明のために奔走するお話です。舞台になっているのは架空の町ですが、最後大どんでん返しで、予想できないラストが待っていました。
探偵が徐々に真実に近づくくだりは面白かったんですよ。ちょっと小説のわりに口語調の表現が多くて読みにくいところもあったのですが、全体として読者を引き込むだけの魅力のある内容だったと思います。ただし、最後が本当にもう・・・私としては、ありゃないわ、と思いました。だって、町ぐるみの犯行だったんですもん。そしてその町は元から悪い人間を罰するために殺人を犯すことは許されていて、それが暗黙の了解になっていました。だから、声を掛け合わなくても、ご近所さんがみんな殺人隠蔽に協力しあう。よそ者から見ると、それがわからないから怖い。そして最後、元恋人の妹から真相を告げられ、「黙っていてくれ。そして私たちの味方になってくれ」といわれるのですが、殺人肯定論なんて到底受け入れられない探偵は、町民の隙を突いて、逃げ出すのです。そこで、物語は終わり。果たして無事に逃げ切れたのかどうなのかがわからず、なんとも後味の悪いラストだったので、それがかなり残念でした。
貫井氏は映画化された「愚行録」の著者ですが、映画はかなりよかったんですよ。だけど、原作は、もしかしてやっぱり「ドミノ倒し」みたいに切れ味の悪いラストだったのかもしれない。いや、映画も決していいラストだったとはいえなかったかな。面白い作風だとは思うのですが、ちょっと残念な作家さんという印象です。
さて、気を取り直して、よく読む作家さんの本を読むことにしました。堂場瞬一氏の著書「策謀」です。これなら間違いなく楽しめると思います。今キンドルで読んでいる本も、堂場氏の著書で「アナザーフェイス」シリーズの最新刊です。昨日「策謀」のほうは2,3ページ読んで終わってしまいました。今晩から本格的に読んでいきます。