「神々の銃弾」読破

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佐伯泰英氏の著書「神々の銃弾」を読み終えました。

主人公で警視庁国際捜査課の警部である根本のところに、かつての友人の子供が一人でやってきたことから事件が始まります。確か12歳だったっけな?そして、その女の子の両親や兄が斬殺された事件を二人で追います。結局大きな事件絡みの壮大な話になってしまったのですが、根本は少女に射撃を教え、二人で悪い奴らを倒す、というのが大筋の話です。そこに、根本の恋人で日本人とドイツ人のハーフでアルゼンチン国籍のアンナ・スタインベルク・吉村が関わっていくという形です。

根本とアンナは様々な事件を一緒に解決していくうちに、互いにとってかけがいのない存在になっていました。しかし、アンナは祖先から次いだパンパで暮らしながら地元アルゼンチンで教職に就くことを選びました。アンナは日本の大学に所属しながらも、国際犯罪捜査課で通訳官として勤務していましたが、複雑な過去から、どこにも自分の居場所を見つけることができなかった。だから、根本と出会い、根本と一緒に仕事をする日本こそ、彼女に相応しい土地だと私は思っていたのですが、物語の初めから意外にもアンナがアルゼンチンに帰るという切り口できました。しかし、アンナは地元である占い師に「根本の身に危険が迫っている」と言われ、慌てて日本に戻ることに。最終的に紆余曲折を経て根本と友人の娘はアンナと一緒にアルゼンチンに渡るのですが・・・都会の闇で暮らすのが性に合う根本にとって、のどかな田舎暮らしが合うとは思えない。実際本人も<いつか東京に戻る。オレの住む町は、東京なんだ>と思っています。

物語は兄がある集団から拳銃を盗んだことが発端だったのですが、それが日本政財界大物の地位を揺るがす大事件に発展したんです。しかし、私にはこの物語にリアリティを感じることが出来ませんでした。第一、知人の娘が、あまりにしっかりしすぎている。思春期に入った娘には、どこか危ういものが常に付きまとうものです。しかし、根本に拳銃を教わって、すぐに敵に立ち向かえるようになった、という下りには、無理があったように思うんです。私としては、「拳銃ってそんなに簡単に扱えるようになるんかい!?」という驚きのようなものがありましたし。根本と一緒に戦う相棒は、12歳の少女でないほうが物語全体がしっくりくるんじゃないかって思いました。だから、正直佐伯作品の中では、そこまで楽しめるものではありませんでした。勿論、いつもながらの躍動感はあったんですけどね。何かいまひとつな感じがぬぐえませんでした。

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それでも、次にまた佐伯作品を選んでしまう(^^;)

今回選んだのは、「幻夢 Ilusion」です。これは単発モノの長編作品みたいなので、今までみたいに感覚で何となく読みこなせるものではないでしょう。最初の数ページは読んだのですが、寝ながら読んでいて、全く内容を覚えていません。また最初から読みつつ、物語がどう進んでいくのか、楽しみにしています。

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