佐伯泰英氏の著書「幻夢」を読み終えました。一人の平凡なバレエダンサーがスペインでフラメンコダンサーのトップにまで躍り出るまでの物語ですが、そこには女性らしい欲情や魔性が存分に表現されていました。いわば、男を踏み台にして駆け上がるタイプの女、薫子。最初の男性は画廊経営者で、彼をたらし込んで絵画を横領させ、大量の資金を調達。彼は薫子にハメられる形で逮捕されますが、拘置所内で自殺します。それにより、真相がうやむやになったかに見えました。そして、日本からスペインに飛び立った彼女は、伝説のフラメンコダンサー、コキリを見つけ出し、彼に従事しながら徐々にフラメンコの腕を磨いてきます。スペインでは今度は貴族の男性を誘惑して結婚するのですが、彼の元婚約者が薫子の未来を邪魔しようとします。そこで今度は、その元婚約者をハメて刑務所に送り込むのです。そうやって、自分の夢を叶えるためなら平気で人を裏切り、抹殺するのです。その一方で、フラメンコを理解する高い感性にも恵まれていました。その心理の絶妙なバランスが見事に表現されていて、私はこの作品、なかなか評価できると思いました。
次に私が読むことにしたのは、松岡圭祐氏の著書「催眠」です。前にも触れた、今テレビでオンエアされている「探偵の探偵」の原作者であり、映画「万能鑑定士Q」の原作者でもある松岡氏、彼の著書を読むのは初めてです。まだ物語の冒頭しか読んでいませんが、一体どんな事件が待ち受けているのか、楽しみにしています。