佐伯泰英氏の著書「テロルの季節」を読み終えました。
この本は、「ユダの季節」の続編で、闘牛カメラマン端上恭助が主人公、そして、「梟」と呼ばれるテロリスト、小磯信樹との因縁の対決を描いています。今回は、ヨーロッパが本格的に連合を組むのを拒むテロリストたちの暗躍を阻止するため、端上が活躍します。そのスケールの大きな世界に、またもや圧倒されました。今でこそ、西欧は自由に国境を越えることができるし、西欧のパスポートを持つ人間であれば、どこにでも自由に住むことができます。しかし、昔は民族性が損なわれるからといって、このような連合を組むのに激しく抵抗するグループがけっこうあったのですよね。今でもバスク地方やバルセロナを擁するカタルーニャが独立を画策していますが、陸続きの国がそれぞれ独立を保つというのは難しいことです。そういう、日本人にはあまり縁のないような世界に、すっと引き込まれていきました。この本、私は全体的に無理のない構成や躍動感など、好感が持てる作品だと思います。
次に私が読もうと思っているのが、こちら「野望の王国」です。また佐伯作品にハマってしまっていますが、何はともあれ、この本を読むのもまた楽しみにしています。