誉田哲也さんの著書「黒い羽」を読み終えました。
物語は、ある女性の背中にある黒い斑点の治療というところから始まります。彼女はその斑点にずっと悩まされて生きてきました。患部は痒く、我慢しても夜中に掻き毟ってしまい、状態はもっと悪くなってしまう。その斑点が日に日に大きくなっているようで、だけどどこにもその治療法がありません。そこで、ある医師との出会いから、遺伝子治療というものを受けてみる気になりました。会社を休んで、東京から離れて生活することになるのですが、患者を乗せた車が事故で横転し、いきなり大変なことになります。
そこから生き残った主人公を含む数人は歩いて治療センターにたどり着くのですが、驚くことに、そこには人の死体が!しかも、どうやらセンター内にいる全員が内臓を抉り取られて死んでいるようでした。誰がこんなことをしたのか?そもそも、この施設は一体どういうところなのか!?
読んでいるうちにすっと引き込まれていき、途中から本当に読まずにはいられない気分になりました。けど、最後の殺人者が黒い斑点が全身に蔓延した男であったこと、その斑点は、実は病気でも何でもなく、ただ人間が進化した結果そうなっただけなのではないか?という結論、ここら辺には、ちょっとモヤっとしました。どうせなら、もっと医学的アプローチをしてほしかったけど、最終的にはそのアプローチが中途半端になっているような気がしたんです。そして最後は斑点を持つ者同士で田舎に移住してペンションを経営するというオチがまたありきたりすぎて、それも好きにはなれませんでした。
全体がいい感じだったのをラストで打ち砕かれるということはよくあります。これも、そんな小説だったなぁと思います。
さて、次に私が読むことにしたのは、笹本稜平氏の著書「太平洋の薔薇」です。久々に冒険小説に戻ってきたような気がしますが、今回は上下巻になっている、物凄く長いストーリーです。最初の1ページくらいは読んだ気がするのですが、眠気眼で読んだので、全く内容は頭に入っていません。これから読んでいくのを楽しみにしています。