笹本稜平氏の著書「フォックス・ストーン」を読み終えました。
これは、私が不得意とするアフリカ大陸が物語で重要な役割をしているのですが、そこで使われていた国名は、恐らく架空のものです。舞台は東京からアメリカ、アフリカの知らない国々へと飛び、スケールの大きさを実感しました。そして、普通の警察小説も秀作が多い笹本氏の冒険モノも素敵だなぁと思いました。
今回は、日本人で元傭兵だった男性と、その相棒だったアメリカ人傭兵の友情が根底にあります。傭兵からジャズミュージシャンに転向し、東京でライブ活動などを行っていた元傭兵のダグが、何者かに殺されます。傭兵時代のあと、ずっと彼とご無沙汰だった日本人の元傭兵・桧垣は、彼の死の真相を知るべく動き出すのですが、その過程で何度も命を狙われ、また何人もの愛する人が命を落とすことになります。この作品では多くの傭兵を雇う軍事会社の実情が詳細に書かれており、それは興味深かったです。そして改めて思ったのは、私自身が旅人であるから、このような冒険小説にある種の共感を覚え、のめり込んでしまうのだということ。私は海外旅行を中学の時から始め、お金と時間のある限り旅を続けてきました。時には、旅支度が面倒で、旅の計画がストレスになることもあるけど、旅は私の人生に必要だとわかっているから、続けているんです。そして、傭兵として多くの国を放浪してきたここに出てくる男たちも、ある意味では同じような気持ちでいるのでしょう。日本に留まっていてはけない、自分が枯渇してしまうという危機感、そういうのもをDNAにもって生まれたのだと思います。
ただ、同じ笹本氏でいうと、「極点飛行」のほうが断然素晴らしかった。あそこには、壮大さの中にも人間の心の大きさがもっともっと含まれていた、というか、もっと豊かに描写されていたように思うんです。この作品もよかったのですが、笹本氏の冒険サスペンスでいえば、私は極点飛行のほうが断然好きです。
そして次は、佐伯泰英氏の著書「悲しみのアンナ」を読みます。
こちらは連作なので、どんな感じかはわかっていますけど、どうも私は南米がらみの話が好きで・・・私が初めて憧れた外国というのが南米でしたから、思い入れが私の中で強いのが影響しているのだと思います。主人公のアンナは、日本人とアルゼンチン人のハーフで、必ず南欧や中南米が舞台になりますから。昨日1ページ読んで、すぐに寝てしまいました。今晩から本格的に読んでいこうと思います。