「歪」読破

IMAG9006堂場瞬一氏の著書「」を読み終えました。

捜査一課の刑事・澤村慶司の事件解決。澤村は過去に事件で子供を死なせてしまったことがあり、そのことをずっと心に抱えている孤独な刑事です。決して優秀なエリートというわけではなく、捜査では常に浮いていて、一匹狼です。そんな彼が真摯に事件に向かい合う姿に共感できます。

今回の話では、同郷の男女が平気で殺人を犯し、逃亡する話です。その男女の姿は、現代人の姿に重なります。新潟の田舎町で生まれ育つ二人は、互いに自分のことを特別な存在だと信じています。自分は決して田舎で一生を終えない、どこかで大きな成功を必ず手にするのだと信じているのです。そのためには手段を選ばず、人を殺すこともやむを得ない、と思っています。殺された人間が無能だから悪いのであり、自分は選ばれてきたのだから何をしても許されるのだ、と。その二人は別々の道を歩んでいますが、とある場所で偶然再会し、互いに逃亡を手助けしあいます。

現代の心理学でも極めてその心をひも解くのが難しいように思います。そんな謎めいた思考を、無理なく描いているのは流石だと思います。私には、こういう若者が現代社会に存在すること自体には違和感はありませんが、それでも人間の心はどんな学問をもってしても決して解き明かすことはできません。そこにぶち当たる刑事の苦悩がすっきりと描かれています。決してドロドロし過ぎず、読みやすい感じに仕上がっていたのでよかったと思います。

IMAG9005次回読むことにしたのは、姉小路祐氏の著書「偽装捜査官」です。

こちらは私がトライするシリーズの第一弾。劇団員出身の男が警察官になったところから物語は始まります。昨晩、数ページ読んで、それで挫折して寝てしまいました。だから、まだ何も事件は起こっておらず、どんな物語になっていくのかわかりません。今晩から本格的に読んでいきますが、楽しみにしています。

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