「テロルの季節」到着

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1日違いで本が到着。最近、Amazonのクレジットカードを作ったので、そこでポイントが貯まってそのままAmazonで買い物できるようになったから、楽ですね。今回、前回紹介した「野望の王国」と2冊同時購入したけど、金額はたったの380円にしかなりませんでした。

さて、こちらの小説ですが、佐伯泰英氏お得意のスペイン舞台の小説「テロルの季節」です。「ユダの季節」の続編らしいですね。前に読んだ「ユダの季節」は、スペインで日本人テロリストが日本人カメラマンと対決する、みたいな物語だったと思います。面白かったですよ。ですから、この続編に当たる「テロルの季節」も期待できるんじゃないですかね。楽しみにしています。

佐伯氏の著書で外国が舞台になっているものは、大抵読み終わりました。こういう感じで、日本と外国をまたいだ国際サスペンスみたいなので何かいい小説はないかしら?と思っています。時間のある時に探してみようと思いますが、初めて読む著者の本だとためらってしまうんですよね。慎重に、紹介文などを読み合わせながら選びたいと思いますが、差し当たりはこの本を読めるのを楽しみにしています。

「幻夢」読破

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佐伯泰英氏の著書「幻夢」を読み終えました。一人の平凡なバレエダンサーがスペインでフラメンコダンサーのトップにまで躍り出るまでの物語ですが、そこには女性らしい欲情や魔性が存分に表現されていました。いわば、男を踏み台にして駆け上がるタイプの女、薫子。最初の男性は画廊経営者で、彼をたらし込んで絵画を横領させ、大量の資金を調達。彼は薫子にハメられる形で逮捕されますが、拘置所内で自殺します。それにより、真相がうやむやになったかに見えました。そして、日本からスペインに飛び立った彼女は、伝説のフラメンコダンサー、コキリを見つけ出し、彼に従事しながら徐々にフラメンコの腕を磨いてきます。スペインでは今度は貴族の男性を誘惑して結婚するのですが、彼の元婚約者が薫子の未来を邪魔しようとします。そこで今度は、その元婚約者をハメて刑務所に送り込むのです。そうやって、自分の夢を叶えるためなら平気で人を裏切り、抹殺するのです。その一方で、フラメンコを理解する高い感性にも恵まれていました。その心理の絶妙なバランスが見事に表現されていて、私はこの作品、なかなか評価できると思いました。

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次に私が読むことにしたのは、松岡圭祐氏の著書「催眠」です。前にも触れた、今テレビでオンエアされている「探偵の探偵」の原作者であり、映画「万能鑑定士Q」の原作者でもある松岡氏、彼の著書を読むのは初めてです。まだ物語の冒頭しか読んでいませんが、一体どんな事件が待ち受けているのか、楽しみにしています。

「神々の銃弾」読破

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佐伯泰英氏の著書「神々の銃弾」を読み終えました。

主人公で警視庁国際捜査課の警部である根本のところに、かつての友人の子供が一人でやってきたことから事件が始まります。確か12歳だったっけな?そして、その女の子の両親や兄が斬殺された事件を二人で追います。結局大きな事件絡みの壮大な話になってしまったのですが、根本は少女に射撃を教え、二人で悪い奴らを倒す、というのが大筋の話です。そこに、根本の恋人で日本人とドイツ人のハーフでアルゼンチン国籍のアンナ・スタインベルク・吉村が関わっていくという形です。

根本とアンナは様々な事件を一緒に解決していくうちに、互いにとってかけがいのない存在になっていました。しかし、アンナは祖先から次いだパンパで暮らしながら地元アルゼンチンで教職に就くことを選びました。アンナは日本の大学に所属しながらも、国際犯罪捜査課で通訳官として勤務していましたが、複雑な過去から、どこにも自分の居場所を見つけることができなかった。だから、根本と出会い、根本と一緒に仕事をする日本こそ、彼女に相応しい土地だと私は思っていたのですが、物語の初めから意外にもアンナがアルゼンチンに帰るという切り口できました。しかし、アンナは地元である占い師に「根本の身に危険が迫っている」と言われ、慌てて日本に戻ることに。最終的に紆余曲折を経て根本と友人の娘はアンナと一緒にアルゼンチンに渡るのですが・・・都会の闇で暮らすのが性に合う根本にとって、のどかな田舎暮らしが合うとは思えない。実際本人も<いつか東京に戻る。オレの住む町は、東京なんだ>と思っています。

物語は兄がある集団から拳銃を盗んだことが発端だったのですが、それが日本政財界大物の地位を揺るがす大事件に発展したんです。しかし、私にはこの物語にリアリティを感じることが出来ませんでした。第一、知人の娘が、あまりにしっかりしすぎている。思春期に入った娘には、どこか危ういものが常に付きまとうものです。しかし、根本に拳銃を教わって、すぐに敵に立ち向かえるようになった、という下りには、無理があったように思うんです。私としては、「拳銃ってそんなに簡単に扱えるようになるんかい!?」という驚きのようなものがありましたし。根本と一緒に戦う相棒は、12歳の少女でないほうが物語全体がしっくりくるんじゃないかって思いました。だから、正直佐伯作品の中では、そこまで楽しめるものではありませんでした。勿論、いつもながらの躍動感はあったんですけどね。何かいまひとつな感じがぬぐえませんでした。

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それでも、次にまた佐伯作品を選んでしまう(^^;)

今回選んだのは、「幻夢 Ilusion」です。これは単発モノの長編作品みたいなので、今までみたいに感覚で何となく読みこなせるものではないでしょう。最初の数ページは読んだのですが、寝ながら読んでいて、全く内容を覚えていません。また最初から読みつつ、物語がどう進んでいくのか、楽しみにしています。

新たに2冊購入

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久々に本を購入。最近は仕事が忙しすぎて本を読むスピードがすっかり衰えています。でも、趣味なので細々と読書を続けていて、ついに本の在庫が切れそうになりました。

左側は、佐伯泰英氏の著書「神々の銃弾」 私が大好きな、国際捜査班シリーズの続編です。通訳官のアンナ・ヨシムラ・スタインベルクと、「クゲマロ」の異名を持つ一匹狼の刑事、根本のコンビが活躍するのですが、今回は一体どんな物語が待っているのでしょうか?かなりワクワクします。

そして、もう一冊の本は、笹本稜平氏の著書「マングースの尻尾」です。これは、「国際謀略小説」というキャッチコピーに惹かれて買ったようなもんかな(笑) やっぱり前に読んだ笹本氏の著書「極点飛行」のインパクトが大きいんですよね。だから、笹本氏の国際小説にはついつい期待してしまう。あれ以来、どの国際犯罪小説を読んでも、極点飛行ほど素晴らしいものに出会えていませんから。そんな出会いが、この著書にあるといいんですけどね。いずれにしても、読むのはずっと先のことになるでしょう。今は佐伯氏の別の本を読んでいますから、それを読み終えてから、読む順番を改めて考えたいと思います。

そういえば、お笑い芸人、「ピース」の又吉さんが、芥川賞を受賞しましたね!私は昔お笑いが大好きで、よく吉本の劇場に通っていました。ピースは最もよくイベントに参加していた芸人さんで、まだ彼らがブレイクする前でしたが、間違いなく彼らはテレビに出るようになると思っていました。

それにしても、芸人さんが芥川賞ねぇ・・・これは話題狙いじゃなくて、ガチで獲った快挙だと思います。いずれ彼の著書も読んでみたいですね。

 

「サイゴンの夢」読破

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佐伯泰英氏の著書「サイゴンの悪夢」を読み終えました。

今回、犯行の舞台は主に日本にあります。ベトナム戦争時代に、米兵「ハーディング少佐」に寵愛されていた、天使のような風貌を持つ「リトル・チャーリー」。彼は戦火のベトナムを脱出し、そのアメリカ人とアメリカで平和でリッチに暮らすことを夢見ていましたが、結局裏切られ、打ち捨てられます。戦乱の中を何とか逃げ切ってフランスに辿りついた彼は、暗殺者として暗躍するようになります。その活動を影でささえるスペイン系フランス人の「マヌカン」とスペイン舞踏団日本公演のスタッフの中に紛れ込み、来日。必要とあらば団員も次々に殺していきます。誰もが、舞踏団のプリマが殺されたとき、「何故?」と思いました。そして、その舞踏団の公演を日本で管理している人物と親しかったアンナ・ヨシムラ・スタインベルクが恋人で警察官の「クゲマロ」こと根本と共に追求していきます。リトル・チャーリーの最終標的が、別人に成りすましてアメリカで大成功を収めたハーディングだったことに私たちが気づかされるのは、途中からのことです。舞台はサイゴン、フランス、スペインを彷徨う少年と、その少年をもてあそんで捨てたアメリカ人との間で往来します。今回も史実をたくみに取り入れながらリアルな犯罪小説を作り上げた佐伯氏、お見事だったと思います。

佐伯氏の描く、どことなく漂う哀愁が私は好きです。リトル・チャーリーの生い立ちを考えれば、ハーディングに対する復讐心も理解できますし、それがどんな過酷な試練を乗り越えて成功間近になったのかを思い描くと、居ても立ってもいられなくなる。貧困にあえぎ、一日を生きて乗り越えられるかさえわからない日常、親も誰もいない土地で一から生活を構築していくこと、それがどんなに大変なことか、外国で暮らした経験のある私には少なからず理解できるところがあります。そういうところに共感できてしまうから、私は佐伯氏の本を読み続けるのでしょう。

ただ、私の中のベスト冒険サスペンス小説は、相変わらず笹本稜平氏の「極点飛行」なのです。いまだにアレ以上の大作を見つけていません。果たしてそんなすごい作品にめぐり合うのかどうかはわかりませんが、引き続き冒険サスペンスは読んでいきたいと思います。

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次に私が読むつもりなのは、姉小路祐氏の「ダブル・トリック」です。久々にガッチリ日本国内の本を読むって感じです。出口の裁判官・岬剣一郎シリーズの2作目、今晩から読みますが、楽しみにしています。

 

「ユダの季節」読破

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佐伯泰英氏の著書「ユダの季節」を読み終えました。最後のほうは特に面白くなってきていて、睡眠を削ってでも最後だけは一晩で読破したかった。けど結局日ごろの疲れがあって眠気に負け続け(^^;)、3分割して読み終えた感じです。

ここに出てくる「ユダ」というのは、小磯という日本赤軍出身の男です。最初はまっとうな大学生活を日本で送っていましたが、とある事件をきっかけに転落の道をいく。しかし、相手の懐に入り込むことと裏切りに長けていて、色んな組織を渡り歩いた結果、スペインのバスク地方のゲリラ組織「ETA」に加わったのです。彼が端上という闘牛カメラマンの妻子を殺したことから端上は小磯に対する復讐心が芽生え、そしていつしか臨時の日本大使館員として端上は彼をギリギリまで追い詰めます。フランコ政権が終わりを迎える中、ファン・カルロス王と日本の皇太子ご夫妻を招いた闘牛大会で小磯たちは大規模なテロを計画していました。しかし、端上と日本大使館、スペイン警察の連携で、何とかそれを阻止。ここでいう「ユダ」というのは、生きるために組織を売って別の組織の懐に飛び込む、小磯のことだと思います。

ラストは、闘牛士と闘牛場を運営する人々が連携してテロ阻止をするのですが、そこで難しい闘牛用語が出てきて、一瞬ストーリーが頭の中から飛ぶことがありました。闘牛って、ただ牛を威嚇して殺すという単純な競技だと思っていたので、闘牛士の立ち位置や威嚇方法に様々な種類があるなんて知らなかったもので・・・。そこのところを辿っていると、結局どうやってテロを阻止しようとしたのかわからなくなってしまい、いつの間にかテロを未然に防いでいました。闘牛の描写については、きっとあれで合っているのだろうけど、私にとってはそこを読解することが難しかったです。ともあれ、充分に楽しめる作品でした。

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私が次に読もうと思っているのが、こちらの「サイゴンの悪夢」です。

日本で警察の通訳官として活動するアンナ・ヨシムラ・スタインベルクの話の第三弾です。「ユダの季節」が昨日読み終わったばかりなので、今日から早速こちらを読んでいこうと思います。

佐伯氏著書など次々到着

20150531_223016昨日・今日にかけて、本が数冊届きました。この際まとめ買いをしようと思って。もっとも、最近もっぱら佐伯泰英氏の著書ばかり読んでいますが、その中に久々に姉小路祐氏の著書も入れてみました。

まず昨日届いたのが、佐伯氏の「復讐の河」。これは、恐らく私が前に読んだ本「暗殺者の冬」のシリーズだと思います。これは「暗殺者の冬」より前に発売されたもので、私は続編を先に読んでしまったみたいです。まだ読んでみないとわからないのですが、アルゼンチンとニカラグアが絡んでいるところ、日本人カップルがニカラグアでひっそり暮らしているところを見ると、間違いなく連作です。

前回読んだ「暗殺者の冬」は、スリナムが舞台になった話で、物語の主人公がスリナムから中南米を縦断し、とある事件の真相究明に奔走します。

私はあまり古い本は読まないんです。それこそ古本ばかり買っていますが、時代設定が今に近ければ近いほどリアルに感じられると思っているので、基本的に選ぶのは、過去10年以内に初版が出版されたもの、今でいうと、2005年以降に出版されたものです。しかし、このシリーズには浪漫が感じられ、テクノロジーの香りがしないところが逆によくて、内容にも古臭さを感じない。だから読んでいこうと思いました。読むのを楽しみにしています。

そして、今日は一気に2冊届きました。

20150601_211400左が佐伯氏の「サイゴンの悪夢」、右が姉小路祐氏の「ダブル・トリック」です。

「サイゴンの悪夢」は、アンナ・スタインベルク・ヨシムラが主人公のシリーズの続きです。「サイゴン」と書かれているからには、次に舞台になるのはベトナムです。私はこれを読んだら間違いなくベトナムのホーチミンに行きたくなります。最近一人旅で東南アジアが私のブームなのです。これは間違いなく面白いです。

「ダブル・トリック」は、副題にある「出口の裁判官 岬剣一郎」のシリーズです。「出口の裁判官」とは、仮釈放の是非の最終判断を執り行う地方更生保護委員会の役職です。保護監察官とかがこれに当たるのではないかな?岬剣一郎は、刑務所にいる仮釈放対象者の仮釈放を決め、その後刑期を終えるまで面倒を見る、という仕事をしていたと記憶しています。これ、私、シリーズの第一弾を読んだことがあるんです。去年の9月ですね、覚えています、海外旅行の時でしたから。で、結構面白いなぁと思いました。それまでは、事件が起こってから解決するまでの物語ばかりを読んでいましたが、実際に事件はそこで終わりではありません。少なくとも事件を起こした当事者は裁かれ、罪を償う。そしてその後の物語が描かれているものを、今まであまり読んだことがなかったんですよね。最近、すっかり冒険サスペンスにハマっていたので、このシリーズのことを忘れていましたが、ちょっとアマゾンの購入履歴を閲覧していたら、このシリーズに気づきました。それで、また読んでみようかな、と。

両方とも楽しみですね。既に4,5冊の本が届いていますが、どれから先に読みましょうか?毎晩の読書の時間が暫く充実して過ごせそうです。

「幻夢」購入

20150531_083711またまた佐伯泰英氏の著書を買ってしまいました。今回購入したものは、「幻夢(イルシオン)」。今回のは、シリーズものではありません。ただ、流石に元闘牛カメラマンが書く小説だけあって、フラメンコダンサーが絡んでいるというのが特徴です。「イルシオン」は、英語の「Illusion」と全く同じ意味でしょうね。そして、今回出てくる都市は、アンダルシアです。

私はかつてアンダルシアを舞台にした小説を読んだことがあります。真保裕一氏の著書で、その名も「アンダルシア」。彼の連作「外交官・黒田康作」は非常に有名で、「アマルフィ」は織田裕二さん主演で映画化され、大ヒットしました。そして、「アンダルシア」も映画化されていたんですよね。思えば、真保さんもとてもいい冒険小説をお書きになる人です。ただあの時、「冒険小説」というジャンルにハマりきらない自分がいました。「アマルフィ」も「アンダルシア」も原作を読んで凄く良かったんですけど、彼の場合はまたテイストが違って、国内で起きる事件を扱う警察小説同様の気軽さで読むことができるんです。一方、佐伯氏の著書は、ずっとスペインか中南米が舞台になっている分、スペインに精通した人が書いた本なのだとすぐにわかります。書き手の人生がそのまま小説に映し出されてしまうんでしょうね。だから、真保氏の著書よりも、もっと佐伯氏の人生そのものを理解しなければ小説も理解できない、というところがあると思います。

テイストの違うもので、同じアンダルシアを舞台にしたサスペンスを比べてみるのも面白そう。正直、恐らく佐伯氏の本のほうが私には難しい気がしますが、それでも読むのを楽しみにしています。

「悲しみのアンナ」読破

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佐伯泰英氏の著書「悲しみのアンナ」を読み終えました。このシリーズ、徐々にハマりつつあります。私が主人公であるアンナ・スタインベルク・ヨシムラという警視庁の通訳に共感しているからかもしれません。

今回は、アンナが誘拐されることを発端に事件が始まります。アンナは警視庁巡査部長の「クゲマロ」こと根本と中華街のとあるレストランで待ち合わせをしていました。ところが、根本のところにアンナは現れない。クゲマロの直感で、アンナに何かあったということがはっきりとわかりました。そしてアンナを探し、奪還するのですが、なぜかアンナは狙われ続ける。そして、どうして狙われるのかがわからない。根本は献身的にアンナを守り、事件の真相を導き出していきます。

前回、シリーズ第一作「五人目の標的」を読んだとき、この小説は読みやすくて好きだと思いましたが、いまいちわかりやすすぎたという面があって、だけど読みやすいには変わりないし、国際的な舞台をモチーフにした作品が最近のお気に入りだったので、続けて読むことにしたんです。今回の事件には、アンナの生い立ちが多いに関係していて、最後は悲しみの結末が待ち受けています。

アンナという女性は、ドイツ系アルゼンチン人と日系人のハーフで、アルゼンチンで幼少期を過ごしたのですが、両親を何者かに殺され、妹が行方不明になり、天涯孤独になります。多民族の血が流れ、色んなところに住んでみたけど、どこもいまいちピンとこない。きっと彼女は典型的な「無国籍人」です。そして、それは私にも共通するところがあります。私はロシア系の家系に生まれ育った日本人ですが、典型的日本人の社会からはどちらかというと疎外されていると感じながら生きてきました。だからイギリスに留学したり、世界放浪をしたりして、自分の居場所を探しているような気がするんです。今はいい職場に恵まれたと思っていますが、そこだって同僚の半分が外国人で、ラテン系のノリでやっている会社。性格的にはわりとラテン系と合う私にとってはパラダイスだし、何よりそこが無国籍な空間であるから、居心地がいいのかもしれない。私もどの社会でも生きていくのが難しく、国籍という枠を超えたところで生きている人間。だからこそ、世界中に家族がいるような気がする一方で、常に孤独でもあるのです。アンナの場合、悲しい生い立ちもあって、常に孤独な自分が前面に出ていますが、それでも日本で良き理解者に恵まれ、何とか自分を保っているように見えます。そういうところが私と重なるから、ついついこのシリーズは読んでしまうんでしょう。ディテールが巧妙にできているかではなく、主人公の人間的な部分が、私を惹きつけています。だから、この先もこのシリーズはコンプリートするまで読んでいくつもりです。

その前に、こちらの本を読んでいこうと思っています。

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同じく佐伯泰英氏の著書「ユダの季節」です。こちらはスペインが舞台になっています。

でも、この本を読んだら、暫くはまた普通の日本の警察小説に戻るつもりです。警察官が出てくれば何でも読むというのが私流ですから。今のペースで佐伯氏の本を読んでいくと、いつか彼の著書全てを読破してしまうでしょう。それは勿体無いので、色んなものを混ぜながら読んでいこうと思います。

「フォックス・ストーン」読破

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笹本稜平氏の著書「フォックス・ストーン」を読み終えました。

これは、私が不得意とするアフリカ大陸が物語で重要な役割をしているのですが、そこで使われていた国名は、恐らく架空のものです。舞台は東京からアメリカ、アフリカの知らない国々へと飛び、スケールの大きさを実感しました。そして、普通の警察小説も秀作が多い笹本氏の冒険モノも素敵だなぁと思いました。

今回は、日本人で元傭兵だった男性と、その相棒だったアメリカ人傭兵の友情が根底にあります。傭兵からジャズミュージシャンに転向し、東京でライブ活動などを行っていた元傭兵のダグが、何者かに殺されます。傭兵時代のあと、ずっと彼とご無沙汰だった日本人の元傭兵・桧垣は、彼の死の真相を知るべく動き出すのですが、その過程で何度も命を狙われ、また何人もの愛する人が命を落とすことになります。この作品では多くの傭兵を雇う軍事会社の実情が詳細に書かれており、それは興味深かったです。そして改めて思ったのは、私自身が旅人であるから、このような冒険小説にある種の共感を覚え、のめり込んでしまうのだということ。私は海外旅行を中学の時から始め、お金と時間のある限り旅を続けてきました。時には、旅支度が面倒で、旅の計画がストレスになることもあるけど、旅は私の人生に必要だとわかっているから、続けているんです。そして、傭兵として多くの国を放浪してきたここに出てくる男たちも、ある意味では同じような気持ちでいるのでしょう。日本に留まっていてはけない、自分が枯渇してしまうという危機感、そういうのもをDNAにもって生まれたのだと思います。

ただ、同じ笹本氏でいうと、「極点飛行」のほうが断然素晴らしかった。あそこには、壮大さの中にも人間の心の大きさがもっともっと含まれていた、というか、もっと豊かに描写されていたように思うんです。この作品もよかったのですが、笹本氏の冒険サスペンスでいえば、私は極点飛行のほうが断然好きです。

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そして次は、佐伯泰英氏の著書「悲しみのアンナ」を読みます。

こちらは連作なので、どんな感じかはわかっていますけど、どうも私は南米がらみの話が好きで・・・私が初めて憧れた外国というのが南米でしたから、思い入れが私の中で強いのが影響しているのだと思います。主人公のアンナは、日本人とアルゼンチン人のハーフで、必ず南欧や中南米が舞台になりますから。昨日1ページ読んで、すぐに寝てしまいました。今晩から本格的に読んでいこうと思います。