「探偵の探偵」後半戦へ

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「探偵の探偵」を、寝る前の時間を少しずつ使って読んでいます。そして、第二巻を読み終えました。読むスピードが決して速いほうではない私が、寝るまえのほんのわずかな時間でかなり読み進んでいます。

ここまで読んで、やっぱりドラマ化された「探偵の探偵」とほぼ流れが一緒なので驚いています。ストーカー被害やDV被害にあった女性たちのシェルターに、暴力男たちが探偵を使って居場所を突き止めて乗り込む。その下りはドラマのままです。全く同じ台詞をコピーしてドラマでも使っていたんだと改めてわかりましたが、これだとドラマの3/4くらい読み進んだことになってしまう。私が今思っているのは、ドラマでは最後の展開があんなに早くなく、もっと段階を踏んで「死神」にたどり着くことになるのではないかと思います。じゃないと、あと2冊分話がもたない(^^;) さぁどうなっていくのか楽しみです。

ところで、先日会社の先輩が東野圭吾の著書を読んだ時の話をしていました。「あたし東野圭吾の話読み始めたんだけど、いきなり最後から読んじゃったからもう犯人わかっちゃった~」と( ̄∇ ̄;)=З

この人、いつもこうなんです。推理小説を読むとまず犯人が知りたくなって、最後から読むんですって。だったら何のためにそのほかのページがあるんだか。私は「読み方へたくそすぎるんで、何とかしてください」って言いましたよ。けど、推理小説にのめりこめない人が推理小説を読もうとすると、こうなっちゃうんでしょうね。サスペンスドラマでも、ネタバレを検索してみちゃうとか。私なら絶対にそんなことしないし、そんなの本を読む楽しみからあまりに逸脱していて、もはや趣味ではなくなってしまいます。

まぁ私は絶対にそんなことはしませんよ。推理小説のプロセスは私の人生に役立っているんです。そこで出てきた何気ない一言が効果的だったり、警察の考え方を学んだり、世の中にはこんな理由で犯罪を犯す人がいるんだ、と思ったり・・・まさに学びの場で、それらのことが実生活でも役立っています。

私はこれからもミステリー小説を愛し続けるでしょう。そこから沢山のことを学んでいきたいと思っています。

「探偵の探偵」を読み続ける

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最近読み始めた「探偵の探偵」は、第二巻に入っています。

最近は夜気づけばめがねをかけたまま寝てしまっていて、それくらい寝落ちが早いのですが、それでいてこれだけのスピードで読んでいるのは私としては驚異的なことです。というか、読みやすいんですよね。話の大筋は知っているわけですから、次々にページが進んでしまう。そして不思議なのは、ドラマ「探偵の探偵」のストーリーと殆ど同じで、違うところを探すほうが難しいということです。

普通、原作があってそれをドラマ化すると、どこかで抜け落ちてしまうストーリーがあります。濃密な小説の内容をドラマ化するのには限度があり、途中を省いてしまっていることが多い。けど、今のところ、物語がドラマ通りに進んでいるので、これだと第4巻にたどり着く頃には一体どうなってしまうんだろう?と思ってしまいます。だって、今読んでいる箇所は、ドラマの中の中盤以降の話に入っていますからね。これなら2巻でドラマ化された部分の再現が全て終わってしまい、3巻からは全く別のストーリーが始まってしまうという計算になります。一体どうなっているのかな?と。ドラマでは1巻、2巻に出てくるところのみを再現して、3,4巻での物語を完全に省いてしまっているのでしょうか?まぁそれは読んでいればわかるからいいのですが。

それにしても、この小説は単なる探偵小説でないところがいいです。私は現実に密着したストーリーというか、現実的な説得力がある物語が好きなので、本来の探偵業をうまく再現していると評判のこの本にはリアリティが再現されているからいいんです。架空の名探偵は、たいてい正義感が強かったり、頭脳明晰なところだけが取り柄だったりします。しかしここでは、実際には探偵業は違法な手段も厭わないところや、実際の探偵業務で使われるテクニックなどが詳細に再現されています。だから面白い。例えば、事務用のりが軟膏代わりになるっていうのは本当でしょうし。ドラマで脇にモノを挟んでおくと脈が止まるというのがありましたが、あれも事実でしょう。死んだふりができるというわけです。気になってきたから、一応調べておこう(^^;

とにかく、実に興味深い本だと思います。今晩も第二巻読破に向けて、楽しみな時間が待っています。

「銀幕の女」読破

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非常にここに書くのがご無沙汰な気がします。

別に本を読んでいなかったわけではないんです。ただ、旅行に行ったり仕事がめちゃくちゃ忙しかったりして、普通に紙の文庫本を飲むペースが遅かったのは事実かな。寝る前には必ず読書をするのが今でも習慣ですが、最近はホントに1ページ読んだら寝落ちしてしまう日が殆どでした。

さて、佐伯泰英氏の著書「銀幕の女」を読み終えました。国際捜査班クゲマロシリーズの最後なんでしょうか。前作品では、ひとまず根本が上司の指示でアルゼンチンに1年ほど潜んでいたところまででした。今回は秘密裏に帰国し、事件を解決します。

ここまでくると、国際捜査班シリーズが始まった当初と最後の作品では、何か全体が変わってきちゃっているんですよね。このシリーズは、日本人の警察官とドイツ系アルゼンチン人の通訳・アンナが事件を解決していくというのが軸になっていたはずですが、いつの間にかアンナの存在は消えていました。「銀幕の女」で出てきたのは、クゲマロこと根本だけです。シリーズのコンセプトが変わってしまったのは腑に落ちないところですが、それでもこれはこれで読み応えがあったような気がします。実際にありえない話のような気がしますが・・・コカインに溺れたある女性が、ある政治家一家を壊滅させていくというのが物語の大筋です。その政治家一家の事件を解決すべく任命されたのが、クゲマロ。事件はまぁ無事に解決したといえますが、被疑者は死亡です。

結局、この作品で描きたかったのは何だったのだろうか?とふと思いました。まとまりのない、面白くない小説、というわけではないんです。ただ、何分コンセプトがずれたという違和感がありながら読んでいたので、事件が発生し、一応の収束を見たときに、「あ、終わっちゃったんだ」と何かあっけないものを感じました。それでも、私はこの作家さんが好きです。

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次に読むことにしたのは、シリーズで購入した「探偵の探偵」です。これは、TVドラマでもうわかっちゃってるところが多いのですが、流石に4冊にもなっているからには、省かれたところも多いはず。その点を読みこなしていければと思います。

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さらに、久々に新しい本を購入しました。懲りずに佐伯泰英氏の著書なんですよね(^^;) 今回は「野望の王国」です。最近日本史にスポットを当てた作品が多い佐伯氏ですが、スペインや南米を舞台にした本はまだまだあるようで、私としても、是非読破したいと思っています。この本を読むのも楽しみにしています。

「探偵の探偵」など購入

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久々に、新刊本を買ってしまいました。しかも、4冊一気にそろえてしまったのです。松岡圭祐氏の著書「探偵の探偵」 これは今ドラマになっていますが、このドラマはかなり実在の探偵の様子をうまく表現しているとのことで、探偵業に興味を持つようになりました。昔叔父が探偵事務所にいたことがあったのですが、尾行や張り込みがきつくて、結局すぐにやめてしまったそうです。確かにああいう作業には忍耐が必要ですよね。それはそれとして、探偵実務は実に多種多様で、本当に面白いと思います。現在放送されているドラマ「探偵の探偵」を見ていると、刑事ドラマ以上の躍動感を感じたりすることもあるので、これは多分、原作も楽しめるんじゃないかって思いました。

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ついでに、通常購入、つまり古本購入で私が新しくゲットしたのが、佐伯泰英氏の著書「銀幕の女」です。これは、警視庁国際捜査班、クゲマロとアンナのコンビが登場するシリーズの最終章らしいです。私はてっきりもう最後まで読んだと思っていたのですが、もう1冊あることに最近気づきました。どうせなら最後まで読破したい、だから購入しました。今は、笹本稜平氏の「マングースの尻尾」を読んでいます。その次に何を読もうか、本の在庫が増えてきている今、かなり楽しみにしています。

「幻夢」読破

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佐伯泰英氏の著書「幻夢」を読み終えました。一人の平凡なバレエダンサーがスペインでフラメンコダンサーのトップにまで躍り出るまでの物語ですが、そこには女性らしい欲情や魔性が存分に表現されていました。いわば、男を踏み台にして駆け上がるタイプの女、薫子。最初の男性は画廊経営者で、彼をたらし込んで絵画を横領させ、大量の資金を調達。彼は薫子にハメられる形で逮捕されますが、拘置所内で自殺します。それにより、真相がうやむやになったかに見えました。そして、日本からスペインに飛び立った彼女は、伝説のフラメンコダンサー、コキリを見つけ出し、彼に従事しながら徐々にフラメンコの腕を磨いてきます。スペインでは今度は貴族の男性を誘惑して結婚するのですが、彼の元婚約者が薫子の未来を邪魔しようとします。そこで今度は、その元婚約者をハメて刑務所に送り込むのです。そうやって、自分の夢を叶えるためなら平気で人を裏切り、抹殺するのです。その一方で、フラメンコを理解する高い感性にも恵まれていました。その心理の絶妙なバランスが見事に表現されていて、私はこの作品、なかなか評価できると思いました。

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次に私が読むことにしたのは、松岡圭祐氏の著書「催眠」です。前にも触れた、今テレビでオンエアされている「探偵の探偵」の原作者であり、映画「万能鑑定士Q」の原作者でもある松岡氏、彼の著書を読むのは初めてです。まだ物語の冒頭しか読んでいませんが、一体どんな事件が待ち受けているのか、楽しみにしています。

「神々の銃弾」読破

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佐伯泰英氏の著書「神々の銃弾」を読み終えました。

主人公で警視庁国際捜査課の警部である根本のところに、かつての友人の子供が一人でやってきたことから事件が始まります。確か12歳だったっけな?そして、その女の子の両親や兄が斬殺された事件を二人で追います。結局大きな事件絡みの壮大な話になってしまったのですが、根本は少女に射撃を教え、二人で悪い奴らを倒す、というのが大筋の話です。そこに、根本の恋人で日本人とドイツ人のハーフでアルゼンチン国籍のアンナ・スタインベルク・吉村が関わっていくという形です。

根本とアンナは様々な事件を一緒に解決していくうちに、互いにとってかけがいのない存在になっていました。しかし、アンナは祖先から次いだパンパで暮らしながら地元アルゼンチンで教職に就くことを選びました。アンナは日本の大学に所属しながらも、国際犯罪捜査課で通訳官として勤務していましたが、複雑な過去から、どこにも自分の居場所を見つけることができなかった。だから、根本と出会い、根本と一緒に仕事をする日本こそ、彼女に相応しい土地だと私は思っていたのですが、物語の初めから意外にもアンナがアルゼンチンに帰るという切り口できました。しかし、アンナは地元である占い師に「根本の身に危険が迫っている」と言われ、慌てて日本に戻ることに。最終的に紆余曲折を経て根本と友人の娘はアンナと一緒にアルゼンチンに渡るのですが・・・都会の闇で暮らすのが性に合う根本にとって、のどかな田舎暮らしが合うとは思えない。実際本人も<いつか東京に戻る。オレの住む町は、東京なんだ>と思っています。

物語は兄がある集団から拳銃を盗んだことが発端だったのですが、それが日本政財界大物の地位を揺るがす大事件に発展したんです。しかし、私にはこの物語にリアリティを感じることが出来ませんでした。第一、知人の娘が、あまりにしっかりしすぎている。思春期に入った娘には、どこか危ういものが常に付きまとうものです。しかし、根本に拳銃を教わって、すぐに敵に立ち向かえるようになった、という下りには、無理があったように思うんです。私としては、「拳銃ってそんなに簡単に扱えるようになるんかい!?」という驚きのようなものがありましたし。根本と一緒に戦う相棒は、12歳の少女でないほうが物語全体がしっくりくるんじゃないかって思いました。だから、正直佐伯作品の中では、そこまで楽しめるものではありませんでした。勿論、いつもながらの躍動感はあったんですけどね。何かいまひとつな感じがぬぐえませんでした。

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それでも、次にまた佐伯作品を選んでしまう(^^;)

今回選んだのは、「幻夢 Ilusion」です。これは単発モノの長編作品みたいなので、今までみたいに感覚で何となく読みこなせるものではないでしょう。最初の数ページは読んだのですが、寝ながら読んでいて、全く内容を覚えていません。また最初から読みつつ、物語がどう進んでいくのか、楽しみにしています。

「催眠」購入

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松岡圭祐氏の著書「催眠」を購入。

この著者の本を買うのは初めてですが、実はドラマで何本か彼の作品を見ているんです。現在やっている、北川景子さん主演のドラマ「探偵の探偵」も毎週見ているのですが、それはこの松岡氏の原作で、過去に深田恭子さん主演で映画化(ドラマ化かな?Huluで見ました)された「蒼い瞳とニュアージュ」、去年話題になった綾瀬はるかさん主演の映画「万能鑑定士Q」も松岡氏の原作です。こうしてみると、私は結構ドラマなどで彼の作品に触れているんだなぁと。それで、一度著書を本格的に読んでみたいと思いました。

いわゆる刑事モノってわけじゃありません。私はミステリー全般が好きで、こういう心理学的なサスペンスも大好きなんです。それに、自分が精神科通院が長くて、自ら自己分析の資格も取得していますから、彼の作品がどれだけ完成度が高いものかも理解できているんです。ですから、本として彼の作品を見てみるのも楽しみですね。

私は今また本のストックを溜めている最中です。松岡氏のシリーズにハマったら、また順番に読んでいくでしょう。今は佐伯泰英氏の国際捜査班シリーズに熱中していますが、松岡氏の本も早く読みたいです。

「ダブルシティ」読破

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佐伯泰英氏の著書「ダブルシティ」を読み終えました。

佐伯氏が描く犯罪モノの中で、国際犯罪ではないものは珍しいですね。その珍しさにひかれて今回購入しました。物語の「ダブルシティ」は、日本の首都・東京と、その地下に、極秘で作られた都市「TOKIO」の2都市を指します。地下都市を取り仕切る集団が痴地上でゴミ収拾所を次々に爆破するテロを起こし、都に対して100億円の身代金を要求。タレント出身の都知事である花島がそれに応じるか否かというところで、花島は地下組織の人間に誘拐されます。この2都市とゴミ収集問題が複雑に絡み合った物語で、地下都市もリアルに描かれていました。

ただね、ちょいと難しいというか・・・ややこしい(^^;) 地上と地下を行ったりきたりして人々が地上と地下で入り乱れ、結局誰が何をしたかったのか、はっきりとわからなかったんです。ゴミ収拾問題を取り上げたことはわかるんですけど、地下都市ねぇ・・・確かに描写は素晴らしかったけど、発想がぶっ飛んでいるような気がして。佐伯氏はやはり、国際犯罪モノなんかが一番いいような気がしました。

だから、次回はこちらを読むことにしたんです。

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神々の銃弾 警視庁国際捜査班」です。こちらはまだ読み始めて数ページですが、一応国際捜査班が出動するからには、外国も絡んだ壮大なスケールの物語であるはず・・・期待して読んでいきます。

佐伯氏著書など次々到着

20150531_223016昨日・今日にかけて、本が数冊届きました。この際まとめ買いをしようと思って。もっとも、最近もっぱら佐伯泰英氏の著書ばかり読んでいますが、その中に久々に姉小路祐氏の著書も入れてみました。

まず昨日届いたのが、佐伯氏の「復讐の河」。これは、恐らく私が前に読んだ本「暗殺者の冬」のシリーズだと思います。これは「暗殺者の冬」より前に発売されたもので、私は続編を先に読んでしまったみたいです。まだ読んでみないとわからないのですが、アルゼンチンとニカラグアが絡んでいるところ、日本人カップルがニカラグアでひっそり暮らしているところを見ると、間違いなく連作です。

前回読んだ「暗殺者の冬」は、スリナムが舞台になった話で、物語の主人公がスリナムから中南米を縦断し、とある事件の真相究明に奔走します。

私はあまり古い本は読まないんです。それこそ古本ばかり買っていますが、時代設定が今に近ければ近いほどリアルに感じられると思っているので、基本的に選ぶのは、過去10年以内に初版が出版されたもの、今でいうと、2005年以降に出版されたものです。しかし、このシリーズには浪漫が感じられ、テクノロジーの香りがしないところが逆によくて、内容にも古臭さを感じない。だから読んでいこうと思いました。読むのを楽しみにしています。

そして、今日は一気に2冊届きました。

20150601_211400左が佐伯氏の「サイゴンの悪夢」、右が姉小路祐氏の「ダブル・トリック」です。

「サイゴンの悪夢」は、アンナ・スタインベルク・ヨシムラが主人公のシリーズの続きです。「サイゴン」と書かれているからには、次に舞台になるのはベトナムです。私はこれを読んだら間違いなくベトナムのホーチミンに行きたくなります。最近一人旅で東南アジアが私のブームなのです。これは間違いなく面白いです。

「ダブル・トリック」は、副題にある「出口の裁判官 岬剣一郎」のシリーズです。「出口の裁判官」とは、仮釈放の是非の最終判断を執り行う地方更生保護委員会の役職です。保護監察官とかがこれに当たるのではないかな?岬剣一郎は、刑務所にいる仮釈放対象者の仮釈放を決め、その後刑期を終えるまで面倒を見る、という仕事をしていたと記憶しています。これ、私、シリーズの第一弾を読んだことがあるんです。去年の9月ですね、覚えています、海外旅行の時でしたから。で、結構面白いなぁと思いました。それまでは、事件が起こってから解決するまでの物語ばかりを読んでいましたが、実際に事件はそこで終わりではありません。少なくとも事件を起こした当事者は裁かれ、罪を償う。そしてその後の物語が描かれているものを、今まであまり読んだことがなかったんですよね。最近、すっかり冒険サスペンスにハマっていたので、このシリーズのことを忘れていましたが、ちょっとアマゾンの購入履歴を閲覧していたら、このシリーズに気づきました。それで、また読んでみようかな、と。

両方とも楽しみですね。既に4,5冊の本が届いていますが、どれから先に読みましょうか?毎晩の読書の時間が暫く充実して過ごせそうです。

「悲しみのアンナ」読破

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佐伯泰英氏の著書「悲しみのアンナ」を読み終えました。このシリーズ、徐々にハマりつつあります。私が主人公であるアンナ・スタインベルク・ヨシムラという警視庁の通訳に共感しているからかもしれません。

今回は、アンナが誘拐されることを発端に事件が始まります。アンナは警視庁巡査部長の「クゲマロ」こと根本と中華街のとあるレストランで待ち合わせをしていました。ところが、根本のところにアンナは現れない。クゲマロの直感で、アンナに何かあったということがはっきりとわかりました。そしてアンナを探し、奪還するのですが、なぜかアンナは狙われ続ける。そして、どうして狙われるのかがわからない。根本は献身的にアンナを守り、事件の真相を導き出していきます。

前回、シリーズ第一作「五人目の標的」を読んだとき、この小説は読みやすくて好きだと思いましたが、いまいちわかりやすすぎたという面があって、だけど読みやすいには変わりないし、国際的な舞台をモチーフにした作品が最近のお気に入りだったので、続けて読むことにしたんです。今回の事件には、アンナの生い立ちが多いに関係していて、最後は悲しみの結末が待ち受けています。

アンナという女性は、ドイツ系アルゼンチン人と日系人のハーフで、アルゼンチンで幼少期を過ごしたのですが、両親を何者かに殺され、妹が行方不明になり、天涯孤独になります。多民族の血が流れ、色んなところに住んでみたけど、どこもいまいちピンとこない。きっと彼女は典型的な「無国籍人」です。そして、それは私にも共通するところがあります。私はロシア系の家系に生まれ育った日本人ですが、典型的日本人の社会からはどちらかというと疎外されていると感じながら生きてきました。だからイギリスに留学したり、世界放浪をしたりして、自分の居場所を探しているような気がするんです。今はいい職場に恵まれたと思っていますが、そこだって同僚の半分が外国人で、ラテン系のノリでやっている会社。性格的にはわりとラテン系と合う私にとってはパラダイスだし、何よりそこが無国籍な空間であるから、居心地がいいのかもしれない。私もどの社会でも生きていくのが難しく、国籍という枠を超えたところで生きている人間。だからこそ、世界中に家族がいるような気がする一方で、常に孤独でもあるのです。アンナの場合、悲しい生い立ちもあって、常に孤独な自分が前面に出ていますが、それでも日本で良き理解者に恵まれ、何とか自分を保っているように見えます。そういうところが私と重なるから、ついついこのシリーズは読んでしまうんでしょう。ディテールが巧妙にできているかではなく、主人公の人間的な部分が、私を惹きつけています。だから、この先もこのシリーズはコンプリートするまで読んでいくつもりです。

その前に、こちらの本を読んでいこうと思っています。

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同じく佐伯泰英氏の著書「ユダの季節」です。こちらはスペインが舞台になっています。

でも、この本を読んだら、暫くはまた普通の日本の警察小説に戻るつもりです。警察官が出てくれば何でも読むというのが私流ですから。今のペースで佐伯氏の本を読んでいくと、いつか彼の著書全てを読破してしまうでしょう。それは勿体無いので、色んなものを混ぜながら読んでいこうと思います。