「ヴェサリウスの柩」読破

20160117_201456麻見和史氏の著書「ヴェサリウスの柩」を読み終えました。

これは、流石に麻見氏初期の作品だけあって・・・今までの中ではさほど面白くなかったかな?途中までは本当にテンポよく読んでいたんですよ。医療系ミステリーもまた興味のある分野なので、遺体に謎のメッセージが書かれたチューブが入っていた、なんていう医学的にありえないようなところからスタートして、興味が沸きました。でも、登場人物のキャラが全体的に弱かった気がする。全員にそれぞれキャラ設定があるんですが、それがうまく引き立っていないんです。<コイツ、何考えているんだろ?>とか<あいつ怪しいぞ>ってこちらがそそられるような人物が、一人もいなかった。それに、犯人も最後のほうで何となく予測がついて、実際にその通りでした。もう一人意外な人物が犯人と関わりがあったのですが、それは強引に結び付けすぎな気がして、かえって不自然だったような気がします。医療系ミステリーでは、もっと質の高いものを沢山書く人がいますから、それと比べて見劣りがしました。それでもまぁ、この人の小説は、機会があるごとに読んでいくと思います。警視庁シリーズは好きですから。

20160117_201513次に私が選んだ本は、五十嵐貴久氏の著書「リミット」です。私は昔、この人の「誘拐」っていうのを読んだことがあったんじゃないかと思うんです。何か、壮大な感じのやつ(^^;)。これ以上は思い出せませんが、面白かったというのは覚えていて・・・これも、ハズレではないと思います。期待しながら、今晩も読み続けようと思います。

「太平洋の薔薇」など到着

20160108_1649113冊まとめて注文したのが、今日届きました。

まず、左側2冊が、笹本稜平氏の著書「太平洋の薔薇」で、右が五十嵐貴久氏の著書「リミット」です。「太平洋の薔薇」は、結構前から目をつけていた冒険小説で、ずっと後回しにしていたものです。大薮春彦賞受賞作らしいのですが、大藪賞が何なのかはわかりません(^^;) 要するに、秀作ということでしょう。冒険小説は、私が最近ハマったジャンルですが、今は全く違うものを読んでいます。私は躍動感のあるミステリーを王道にする読書家で、やっぱり原点回帰する時もあるのです。以前購入した本は、その原点に立ち返って注文したものばかりでした。それで今度は、また少し冒険モノも混ぜていいかな、と。

冒険小説に魅せられる理由は、私自身が旅人だからだと思います。私は出張の多い仕事には就いていませんが、まとまった休暇があれば、必ずどこかを一人で旅行して、現地での出会いや新しい文化を楽しんでいます。そうやって自分探しをするタイプのようです。そんな私だからこそ、冒険の中で繰り広げられる戦いやドラマに興味が沸くのだと思うんです。勿論、これがただの恋愛小説なら読まない。私は冒険の中で様々な事件が発生するような、ミステリータッチのものが好きなんです。やっぱそこは、推理小説読者という点を譲れないポイントですね。この「太平洋の薔薇」も、あらすじを読んだ限りではそういう小説です。だから、珍しく上下巻という超長編なのですが、この際思い切って買ってみることにしたんです。

五十嵐貴久さんの著書は、以前にも読んだことがあり、なかなか面白い小説を書く人、という印象を持っています。ただ、昔本だ本がどんなだったかまでは覚えていないのですが( ̄∇ ̄;)=З 面白かったということだけ覚えていて、もう少し違うのも読んでみようかな、とたまたま思ったんです。それで、今回太平洋の薔薇と同時購入しました。

まずはきっと、五十嵐氏の本を後回しにして、先に太平洋の薔薇を読むんだろうなって思っていますが、気分で順番は入れ替わります。まぁ、どれを取っても、今後の私の楽しみです。

「震える牛」読破

20160105_230110相場英雄氏氏の著書「震える牛」を読み終えました。

物語の中盤まで、タイトルになっている「震える牛」の意味がわかりませんでした。しかし、途中からわかってきたんです。牛が震える症状、それはBSE・狂牛病の兆候であるということ。この物語は、狂牛病を発症した牛を飼っていた農家やそこと提携していた大企業がBSE問題をもみ消すための工作を図った物語だったんです。それを巡って殺人事件が起きるのですが、捜査をしている側からすると、殺された二人の接点がまるで見えない。当初は場当たり的犯行、二人は偶然その犯行の巻き添えになったということになっていました。そんな初動捜査のミスからこの事件は迷宮入り寸前になっていたのですが、捜査一課の特殊係に任命された刑事がその真相を暴きだします。最初から読みやすい本だな、と思ってすんなり入っていきましたが、物語が進むにつれて、どんどん引き込まれていきました。驚くくらいに、です。この本には読者を引き込むパワーがあり、非常に難しい問題を扱っていながら誰もが読みこなすことが可能なつくりになっているという感想です。とにかく、面白かったです。

20160105_230055さて、次に私が読むことにしたのは、麻見和史氏の「ヴェサリウスの柩」です。ミステリー部門の秀作として認知されているようですが、まだ読み始めたばかりで、詳しいことはわかりません。麻見氏の本はどれも面白くてハズレがないというのが私の感想なので、きっとこの作品もどんどん面白くなっていくに違いない。そう期待して、今晩も読み続けようと思います。

「屑の刀」読破

20151226_120448麻見和史氏の著書「屑の刀」を読み終えました。この作品、意外に面白かった!私って警察小説を読むのが好きでも、ジャーナリストが事件を追うという視点があまり好きじゃないんです。この作品はまさに、その典型でした。しかし、どんどんスピードよく読んでしまう自分にびっくりです。まず、主人公になっている綾音の着眼点が凄腕刑事さながらによく、ジャーナリストの視点からも事件を捜査することが可能であることをリアルに再現してくれていました。捜査権のない素人が何となく周りからの情報を頼りにして事件を解決するのは、あまりリアリティがないけど、これは自らも事件に関わっていく姿がとても自然だったんです。なかなかの秀作だったと思いますが、最後のオチは・・・オチ切ったような、オチ切っていないような、微妙なところです。そもそもここで起こる殺人は、どれもとても猟奇的で、そのような気質がないとできないことなんです。それを、イメージトレーニングや肉体のトレーニングだけで無理やり実行してしまうというのは無理があるでしょう。それでも納得する人はいるかも知れない。けど、私は猟奇殺人犯の行動心理を随分勉強したので、リアリティに欠けた犯人像であることが明白になっていると感じてしまいます。そこだけが残念でしたし、綾音とライバル関係にあった新聞社の石塚には、もっと最後まで見せ場を作ってほしかったと思います。それでも、私が物語に吸い込まれるように読みふけったことには変わりなく、かなりオススメではあります。

20151226_120623次に私がチョイスした本は、相場英雄氏の「震える牛」です。牛かぁ・・・何でこれを選んだのか忘れてしまいましたが、とにかく初めて読む著者の本です。初めての作家さんの本は、最初が緊張します。推理小説とか警察小説って、たまに難しすぎて読むのを放棄することがあるんです。私の場合は10冊で大体1冊くらい、読むのを諦めています。最初の数ページを読んでみて、まず諦めないで読める本だということはわかりました。あとは、物語がどんな風に展開していくか、ですね。まだ大きな事件に発展していないので、これから先が楽しみです。

「ピカソ・青の時代の殺人」読破

20151217_235423佐伯泰英氏の著書「ピカソ 青の時代の殺人」を読み終えました。

この本では、ピカソのことを本当によく知ることができました。ただ、何が真実で何が付け足したフィクションなのか、わからなくなってきましたけどね。佐伯さんはスペインを舞台にしたら、何でも本当にリアルに書いてしまうから、驚きです。物語は、ピカソに作風が酷似する画家の作品とピカソの作品を巡って殺人事件が起こり、舞台は東京、パリ、バルセロナと転々とします。バルセロナ五輪が開催されるまで、バルセロナを擁するカタルーニャは凄く特殊な場所として捉えられていたことがよくわかります。今ではバルセロナをスペインの大都市としか位置づけない人も多いと思いますが、確かにあそこだけはナショナリズムの意識がとても高いところです。結局犯人は、バルセロナの大富豪にして精神を病んだ実業家だったのですが、一度絵に取り憑かれると、人は尋常ではいられなくなるのかも知れません。実際に多くの画家が精神状態を乱したし、崇高なもの、究極の美しさを求めるものにとって、その世界にとことんはまれば、精神を蝕まれるということはあるのだと思います。今回はそんな人間の起こした狂気の殺人が発端となり、普通の刑事がバルセロナ出張までして事件を解決しました。全体的にテンポよくきて、やはり途中からもう夢中になって読んだのですが、最後のオチでちょっとね・・・犯人の一人が小児性愛者の男性、というところまではよかったけど、整形で胸にシリコンは入れたけど男性性器はそのままっていう女性になっていたというのには無理があったように思います。物語で一人の男性をそこまで変える必要はなかったかなぁというのが私の意見です。

佐伯さんの作品は、最後で惜しいと思うことが何度かありました。全体を通して作品の質は本当に素晴らしいのに、最後がオチきれていない、という感じ。それがなければ、この物語は完璧になっていただろうに、と思います。

20151217_235734次に私が読むことにしたのは・・・結局今本のストックが結構できてしまったわけですが・・・麻見和史氏の「屑の刃 重犯罪取材班・早乙女綾香」にしました。一度にまとめ買いをしておいた中で、麻見氏の作品だけ2冊買っていたので、まず一冊読んでしまおう、と思ったのです。昨日2ページくらい読んで、すぐに眠りに落ちてしまいました。今晩からじっくり読んでいこうと思います。

「ヴェサリウスの柩」到着

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私は今回4冊一気に本を頼みましたが、その最後の1冊「ゲサリウスの柩」が到着しました。気づいていなかったのですが、私は今回、麻見和史氏の著書を2冊まとめて購入していたようです。確かに、彼の書く「警視庁殺人分析班」シリーズは本当に面白く、私はすっかりハマってしまいました。主人公となっている刑事、如月塔子が等身大の女性で、それが共感を呼んだのかもしれません。そしてそれとは別に、今まで麻見さんの作品でいうと、殺人分析班シリーズしか読んだことがなくて、それ以外にどんな本を書いているのか、知らなかったんですよね。だからほかのものにも興味があって、ずっと読んでみたいと思っていました。

この本は、鮎川哲也賞なるものを受賞しているそうです。私は芥川賞とか直木賞しか知りませんが・・・何かの賞に選ばれるなんて、相当読み応えがありそうです。かなり楽しみにしています。

「屑の刀」など3冊到着

20151211_002327楽しみにしていた本が到着しました!

今回は4冊同時購入したのですが、そのうち3冊が届きました。左から、麻見和史氏の「屑の刀」、相場英雄氏の「震える牛」、誉田哲也さんの著書「黒い羽」です。麻見さんと誉田さんの本は過去に何冊か読んだことがあります。特に麻見さんの警視庁捜査一課十一係がとても好きで、キンドルで連続して読破したくらいです。誉田さんは、原作本が何度もドラマ化・映画化されていて、とても有名な方ですよね。「ストロベリーナイト」は、私が本を読み終わったその日に偶然ドラマ化されていたという、私にとっては奇跡的なめぐり合わせの本でした。今回、相場さんの本は、恐らく初めて読むことになります。馴染みの浅い小説家の本を読むのは興味深いと同時に、作風が自分に合うかどうかが気がかりでもあるのですが、何はともあれ、全部面白そうだと思って買った本です。今年はこれで乗り切れます。今読んでいる、佐伯泰英氏の本の次はどれにしようかしら?今から順番を決めるのが楽しくなっちゃいます。

「テロルの季節」読破

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佐伯泰英氏の著書「テロルの季節」を読み終えました。

この本は、「ユダの季節」の続編で、闘牛カメラマン端上恭助が主人公、そして、「梟」と呼ばれるテロリスト、小磯信樹との因縁の対決を描いています。今回は、ヨーロッパが本格的に連合を組むのを拒むテロリストたちの暗躍を阻止するため、端上が活躍します。そのスケールの大きな世界に、またもや圧倒されました。今でこそ、西欧は自由に国境を越えることができるし、西欧のパスポートを持つ人間であれば、どこにでも自由に住むことができます。しかし、昔は民族性が損なわれるからといって、このような連合を組むのに激しく抵抗するグループがけっこうあったのですよね。今でもバスク地方やバルセロナを擁するカタルーニャが独立を画策していますが、陸続きの国がそれぞれ独立を保つというのは難しいことです。そういう、日本人にはあまり縁のないような世界に、すっと引き込まれていきました。この本、私は全体的に無理のない構成や躍動感など、好感が持てる作品だと思います。

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次に私が読もうと思っているのが、こちら「野望の王国」です。また佐伯作品にハマってしまっていますが、何はともあれ、この本を読むのもまた楽しみにしています。

「探偵の探偵」ついに読破

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ドラマ化された長編小説「探偵の探偵」をついに読破しました!

ドラマでは第3巻までのストーリーを詳細に描いていましたが、やはりそれだけでは終わりませんでした。物語には続きがあったのです。ドラマでは市村凜の正体を暴き出し、紗崎玲奈が別の探偵事務所に移籍するところで終わっていました。しかし、実際は市村凜から琴葉を救出する過程で玲奈と琴葉の間に気持ちのすれ違いがあり、それを乗り越えるために第4巻ではお互いに新しい戦いに挑んでいきました。ドラマでは、市村凜が何故探偵業に精通していたのか、そこまでは描かれていなかった。第4巻では、市村を探偵に育てた精神科医との攻防が描かれています。

なるほど、そういうことだったのか、と納得しました。誰が何のために市村のような女性を探偵に仕立てたのか・・・。それにしても、探偵という職業をリアルにここまで詳細に再現できるなんて、この著者は本当にスゴイと思いました。前に「催眠」を読んだ時にも思いました。この人の書く物語は、とんとん拍子でシーンが変わっていくのです。そこに若干スピード感がありすぎると思いましたが、物語としては不自然になっていない。私は特に「探偵の探偵」最終巻で、拘置所内での殺人事件を描いたところが圧巻だったと思います。

ただ、私は物語全体を通じて、レナと琴葉の関係には共感できないと思いました。この二人の関係については、ドラマのほうがしっくりくる。他人同士が本当の姉妹以上に必要としあう姿には無理があると思うんです。玲奈にとって、琴葉は人生の全てでした。琴葉がいる人生、琴葉と分かち合う人生が最も幸せである、と。それは、どういう生い立ちがあっても、成立しづらい類似姉妹愛だと思うんです。私には姉と妹がいますが、彼らの存在は一緒に育ったからこそあります。実の姉妹を他人に置き換え、本当の家族のように感情移入をすることは少なくとも私の人生ではないでしょう。妹分や姉貴のような存在がいても、それ以上求め合うことはありません。何故この二人が姉妹愛以上の強い絆で結ばれたのか、それがどんなに詳細に描かれていたとしても、理解しがたいものがありました。まぁ、それ以外の点では文句ない小説だとは思うんですけどね。私にとってはそこが残念なところです。

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そして、私は自分の原点に戻ってきたような感じです。次に読むと決めたのは、佐伯泰英氏の著書「テロルの季節」。たぶんこっちのほうが、それぞれの人間の関係性が理解しやすいと思います。まだ1ページくらいしか読んでいなくて、昨晩はすぐに寝てしまいました。今晩から続きを読んでいくので、楽しみです。

「探偵の探偵」最終章へ

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「探偵の探偵」、第三巻まで読み終わりました。そして、やはりドラマにされていなかったところがあった!!もっとも、その部分を読むのはこれからです。ドラマ化されたのは3巻までの部分、実は物語には続きがあったのです。

ドラマでは、「死神」が市村凜ということを突き止め、追い詰めるところまでで終わっています。要するに、レナが探偵になった原点は妹がストーカーによって殺されたことにありましたが、そのことに決着をつけたところでドラマは終わっているのです。レナはその後別の探偵社に移籍しますが、それ以上、物語に続きはありません。しかし、スマ・リサーチの須磨社長は、市村凜に探偵技術を教えた人物を既に特定しており、今度はその人物を追うところから物語が始まりそうです。勿論、第4巻で物語は終わり。この1冊で、本当の決着がつきます。

今まではただドラマに出てきたところをすらすらと読んでいただけなので、頭をさほど使っていませんでした。原作とドラマは勿論かなり違うのですが、それ以上に、よくこの原作をあそこまで忠実にドラマに再現できたな、と感心する部分のほうが大きいです。しかし、ここから先は違うんだと思うと、ますますワクワクしてきます。いつもどおり、知らない物語を読むということになるのですから。ここからはしっかり頭を使って読みこなしていかないといけない。

私は、この原作では、最初の語り手が須磨社長になっていたから、その調子でいくものだと思っていました。しかし、いつの間にかそれは消えて、須磨さんはすっかり脇役に徹しています。ただ、この物語のキーパーソンであることは間違いないでしょう。そのわりに、私の大好きな俳優さんでもある井浦新さんが、須磨社長を演じたのに、もうちょっと彼をクローズアップしてほしかったなぁと(^^;) あくまで北川景子さんを引き立てるために全員いるような、ドラマではそんな感じになっていました。仕方ないですね、人気女優がドラマの命ですから。

まぁさておき、今晩から読む続きが楽しみです。本当のラストには何が待っているのか!?衝撃的であることを期待します。